近い将来「歩きスマホで罰金」になる?

「歩きスマホ」をする人が増え、人同士がぶつかるなどの小さな事から、階段やホームから転落するなどの大きな事故も報告され始めています。

皆さんも歩きスマホしている人を避けて歩く、歩く速度が遅いなどでイライラした経験があるかもしれません。そんな歩きスマホですがニュージャージー州フォートリーでは「歩きスマホ規制条例」が出来たとのことです。

いつか「歩きスマホで罰金」こんな日が来るのでしょうか。日本で歩きスマホ規制条例を導入することに肯定的な人は多いようですが、現実的に出来るのか、問題点などを考えてみたいと思います。

歩きスマホ

 

■歩きスマホは法律で禁止可能か

結論からいえば、日本でも歩きスマホを禁止し、違反した場合に罰則を科す法律を制定することは可能です。

国民の基本的人権を侵害しない限り、どのような行為を規制するかは、基本的に立法府である国会に裁量があります。歩きスマホに事故の危険性がある以上、これを禁止することは、原則として憲法に違反するものではありません。

 

■憲法31条

問題点として考えられるのは、法定刑をどうするかと、規制対象をどこまで広げるかという2点です。この2点で問題があると、憲法違反の疑いが生じます。

憲法31条は、「何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。」と規定しています。この条文から一見してわかりにくいですが、実は憲法31条は、法律の内容が適正(行為と法定刑のバランスが不均衡でないこと)であること、刑罰の対象が明確であることをも要求していると解釈されています。

したがって、歩きスマホの違反行為に対する法定刑が余りに重すぎたり、禁止行為の内容が漠然としていたり、対象が広範すぎる場合には、憲法に違反することになります。

具体的には、歩きスマホを禁止する場所を公共の場に限定したり、法定刑も科料・罰金のみか、禁固上限1~2年に設定すべきだろうと思います。家の中で歩きスマホをしても他者に危険はないですし、無期懲役や死刑にされたら歩きスマホ行為がもつ危険性と刑罰が著しく不均衡だからです。

なお、条例で刑罰を科して歩きスマホ行為を規制する場合も同じで、刑罰が不均衡だと憲法31条に違反します。

 

■規制の可能性

実際に歩きスマホでヒヤっとした経験のある人は多いと思いますが、危険性が社会的にも認識されるようになると、遠くない将来に条例や法律で規制される可能性は十分あるでしょう。

「携帯電話を歩行しながら操作する行為等の規制に関する法律」などという名称にでもなるのでしょうか。法律で規制されていない現在も、歩きスマホの危険性は同じですので、気を付けなければいけませんね。

 

*著者:弁護士 星野宏明(星野法律事務所。不貞による慰謝料請求、外国人の離婚事件、国際案件、中国法務、中小企業の法律相談、ペット訴訟等が専門。)

星野宏明
星野 宏明 ほしのひろあき

星野・長塚・木川法律事務所

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