ツイッターで他人の発言をそのままパクってツイートする、通称「パクツイ」をおこなう人「パクリツイッタラー」に注目が集まっています。
悪気なしに他人の面白ツイートや写真などを自分の発言のように投稿する為、嫌われる存在ではありますが、パクっていると知らない人からは「面白い人」と認識されて人気になったアカウントもあるそうです。
そんなパクリツイッタラーは法律上罪に問われることはあるのでしょうか。
■著作物侵害が成立し得る
他人のツイートを勝手に自分のものとしてツイートすることは、勝手に利用された側からすれば不快でしょうが、それ以上に著作権法に反する可能性があります。
ところで、ツイッターは140文字の制約があり、短いものであるため、著作権が成立しないと考えている人もいるようです。
しかし、著作権は「思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」(著作権法2条1項1号)について成立します。そして、特許などとは異なり、著作に当たるものであれば特に申請をしたりする必要はありません。
要件として短いかどうかということは求められておらず、あくまで「思想又は感情を創作的に表現したもの」といえるのであれば、ツイートをした人物に自動的に著作権が発生することになります。
なお、ツイッターの利用規約上、ツイッター社に対してはツイートの内容を無償で使用させること等が定められていますが、権利自体はツイートをした人物に留保されることが明記されています。そのため、著作権はやはりツイートをした人物にあることになります。
■著作権侵害の罪は重い
他人の著作権を侵害した場合、「10年以下の懲役若しくは1,000万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」とされています。
また、著作物は勝手に改変することができず、そのようなことをすれば著作者人格権という権利を侵害することになります。パクツイをする人は、ツイートの内容を改変したりすることもあるようですので、その場合はこの権利を侵害することになります。
これについては「5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」とされています。
ただし、これらの罪は「親告罪」といって、告訴がなければ起訴することができません。
■リツイートはセーフ
なお、このようにパクツイはアウトですが、リツイートはセーフと考えられます。
リツイートであれば許容されているという明文の利用規約はなさそうでしたが、ツイッター自体にリツイートという機能が備えられているため、ツイッターの利用に同意した時点でリツイートについての同意もあるとも考えることができるからです。
パクリツイッタラーは、たまたま罪に問われていないだけで、パクられた人が被害を申告していけば罪を負うことになりかねない状況にあります。
そのため、すでにしてしまった人も今後はしないようにするべきでしょう。
*著者:弁護士 清水陽平(法律事務所アルシエン。インターネット上でされる誹謗中傷への対策、炎上対策のほか、名誉・プライバシー関連訴訟などに対応。)