今年のゴールデンウィークは4月26日から5月6日までの11日間ですが、間に4日間の平日を挟み飛び飛びです。
こうした場合、保護者はレジャーや家族旅行のため小学生や中学生の子供に学校を休ませることはできるのでしょうか?
この点、ゴールデンウィークを有効に使うために数日間くらい子供に学校を休ませても許されるのではと考える方もいらっしゃるのではないでしょうか。
■義務教育
保護者には子供に普通教育を受けさせる義務があります(憲法26条2項前段、教育基本法5条1項、学校教育法16条、17条1項、2項、民法820条、857条)。
保護者は、この義務に違反して子供の就学を妨げた場合、制裁(10万円以下の罰金)を受ける可能性もあります(学校教育法144条1項)。
このように義務教育が定められ違反の場合の制裁規定まで設けられているのは、日本という国を将来に渡って存続・繁栄させるために必要であるし、子供が人間らしく成長するために必要だからです。
したがって、保護者が子供に小学校・中学校に「一切通わせない」というのは許されません。
■保護者や子供の権利
以上のとおり保護者には子供に義務教育を受けさせる義務があるわけですが、他方で、保護者には、子供のために子供を教育する権利(民法820条)、幸福追求権(憲法13条)、思想良心の自由(憲法19条)といった権利があります。
また、子供にも教育を受けて学習する権利(憲法26条1項)、幸福追求権(憲法13条)、思想良心の自由(憲法19条)、知る権利(憲法21条)といった権利があります。
家族旅行やレジャーは保護者や子供のこうした権利に関わる面もあるかと思います。
そこで、義務教育は、こうした保護者や子供の権利と衝突する場合もあり、どのように調整すべきかが問題となってきます。
この点、裁判例とかは見あたりませんが、結局、義務教育の目的に著しく反しないかどうかということだろうと思います。
■ゴールデンウイークに含まれる平日を休ませる場合
ゴールデンウイークに含まれる平日を休ませる場合、休んだ分義務教育が欠けるわけですが、数日間くらいであれば、ほとんど支障がないと考えられます。十分取り返せる範囲内でしょう。
そうであれば、保護者や子供の権利を優先させてもいいと考えられるわけです。
*著者:弁護士 冨本和男(法律事務所あすか。企業法務、債務整理、刑事弁護を主に扱っている。親身かつ熱意にあふれた刑事弁護活動がモットー。)