ビッグダディこと林下清志さんが5度目の結婚を発表しました。
これを聞いて「あれっ?」と思った方はいらっしゃるでしょうか。「結婚・離婚は○回までしかできない」とどこかで聞いた事がある方もいると思います。
そこで今回は、結婚・離婚の回数について制限があるのかどうか、また、結婚・離婚を何度も繰り返した場合の問題点を弁護士視点で書いてみます。
■結婚・離婚の回数について
日本の法律では、結婚や離婚の回数には特に制限はありません。
もっとも、女性の場合には、再婚禁止期間中(離婚後6か月)は、再婚をすることができないという制限があります(民法733条1項)。
これは、再婚後すぐに子どもが生まれた場合に、その子どもの父親が分からないといった事態を避けるために設けられた規定です。
なお、ビッグダディこと林下さんは、同じ相手(初婚相手)と合計3回結婚しているそうですが、前婚と同じ男性と再婚する場合には、再婚後に生まれた子どもの父親はその男性ということができますので、上記規定は適用されません。
以上のとおり、女性の場合には、寿命との関係で、事実上、結婚や離婚の回数には制限があるといえるでしょう。
一方、男性の場合には、上記のような法律上の制限はありませんので、理論上、死ぬまでの間に、1万回結婚して1万回離婚することも可能です。
■結婚・離婚を繰り返すことによる問題点とは?
上記のとおり、法律上は、結婚や離婚の回数には制限はありませんが、何度も結婚や離婚を繰り返すことによって下記のような問題が生じると思います。
・親権・養育費について
何度も結婚することで、その間に生まれる子どもの数も多くなるでしょうから、離婚の際には、親権や養育費の支払いでもめる可能性があります。
自分が子どもを引き取らない場合、子どもの数が多ければ多いほど、離婚相手に支払うべき養育費の額も多くなりますので、かなりの金銭的な負担になるでしょう。
・財産分与について
これも養育費と同様、離婚のたびに発生する問題です。
財産分与の内容と問題点については、「プーチン大統領も「熟年離婚」イザ必要な法知識とは」で詳述していますので、そちらをご覧いただければと思います。
離婚のたびに、それまで夫婦で形成してきた財産を原則として2分の1ずつ分割しますので、たとえば、結婚中に住宅を購入し、当該住宅を離婚の際に夫婦の一方が取得する場合、当該不動産の価値の2分の1に相当するお金を当該住宅を取得しない相手に支払わければなりませんので、支払う側にとっては大きな金銭的負担となります。
・将来の遺産相続について
離婚をして、離婚相手との間の子どもを自分が引き取らなかったとしても、当該子どもとの間の親子関係は消滅しません。
そして、婚姻中の配偶者との間の子どもであっても、離婚した相手との間の子どもであっても、等しく相続人となります。
一般的に、相続人が多ければ多いほど、どの遺産を誰が相続するのかでもめる可能性が高いので、将来の遺産相続も、複数回結婚・離婚を繰り返すことによるリスクの一つであるといえるでしょう。
当該リスクを避けるためには、遺産を全く残さないようにするか、あるいは、生前に、各相続人に対して平等に財産を贈与する、という方法をとるべきでしょう。