「桜塚やっくん」亡くなっているのに書類送検なぜ?

タレントの「桜塚やっくん」が、昨年交通事故で死亡した事故に関連して、事故を起こして同乗男性にけがをさせたとして容疑者死亡のまま自動車運転過失傷害容疑で書類送検されたそうです。

今回はこの事故の法的側面を詳しく見ていくことにしましょう。

交通事故

この事故は、平成25年10月5日の夕方、中国自動車道を走っていたタレントの桜塚やっくんが運転する5人乗りのワゴン車が中央分離帯に衝突して同乗者二名が軽傷を負った事故(第1事故)と、事故後車外に出た桜塚やっくんと同乗者1名が、後続の車両2台に次々とはねられて死亡したという事故(第2事故)です。

高速道路上で車両が故障や自損事故を起こし、運転者や同乗者が車外に出て後続車にひかれる事故は毎年数十名を数え、高速道路上で車外に出ることがいかに危険かを物語る事故です。

この件で、平成26年3月19日、第1事故のワゴン車を運転していた桜塚やっくんが自動車運転過失傷害容疑で、また、第2事故の後続車を運転していた2名が自動車運転過失致死容疑で、それぞれ書類送検されました。

自動車運転過失傷害罪、同致死罪は、自動車の運転者が運転上の必要な注意を怠り、これによって他人を死傷させた場合に成立する犯罪で、いずれの場合も、7年以下の懲役もしくは禁錮又は100万円以下の罰金に処せられます。

第1事故では、桜塚やっくんの運転操作のミス等が原因で同乗者2名が軽傷を負っていますので、この行為を自動車運転過失傷害罪に、また、第2事故では、後続車の運転者2名の前方不注意等のミスが原因で高速道路上を車外に出ていた2名をはねて死亡させていますので、これらの行為を自動車運転過失致死罪に問われたわけです。

ちなみに、「書類送検」とは、犯罪捜査をした警察が、容疑者を逮捕勾留せず、捜査書類と証拠を揃えて対象となった事件を検察官に送致することです(簡単に言えば書類、証拠とともに事件を検察官に引き継ぐことです)。

今回は、事故で死亡した桜塚やっくんも書類送検の対象となっていますが、これは、警察が犯罪の捜査をしたときは、予め指定された軽微な事件を除き、全件を速やかに書類、証拠物とともに検察官に送致しなければならないと定める刑事訴訟法(246条)の規定に基づくものです。

もちろん、容疑者が死亡していれば裁判に付されることはありませんので、送検後は検察官によって「被疑者(容疑者)死亡」を理由に不起訴処分がされて事件処理は終わります。

*参考:「桜塚やっくん」事故 本人含む3人を書類送検:朝日新聞デジタル

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