弁護士が語る!「司法修習」って一体何やってるの?

「懲役3~4年、罰金1、000万円」

裁判員裁判の判決ではありません。少し前の読売新聞朝刊で、弁護士・裁判官・検察官(法曹三者)になるために必要な最低限の時間とお金を皮肉った言葉として紹介されていたものですが、現実はまさにそのとおりです。

今回は、一般の方にあまり知られていない司法修習の内容をご紹介します。

弁護士

■司法修習とは

現在、法曹になるためには、大学卒業後、法科大学院に2年ないし3年通って修了するか予備試験に通った後、司法試験に合格し、1年間無給で司法修習をして、司法研修所の卒業試験に受かる必要があります。

したがって、大学を卒業した後、法曹資格を取得するまで最短でも3~4年の時間と、その間の学費・生活費が必要となるのです。

このような状況ですが、特に司法修習生に給与が支給されていた数年前までは、司法試験に受かった後の司法修習は、給与が支給され、弁護士になる直前の希望に満ちた時期で、どの弁護士に聞いても「司法修習は楽しかった」という答えが返ってくるものでした。

今は法科大学院の学費や生活費でつくった多額の借金を抱えてさらに無給の司法修習をこなす人も多く、以前のように夢と希望に満ちたものではなくなりましたが、苦しい受験生活が終わり、目標だった法曹資格目前の時期として、今もそれなりに有意義な時間であることに変わりありません。

■どんなことをする?

司法修習は、裁判所で裁判官の横や後ろに座って傍聴をし、裁判が終われば裁判官室で裁判官と一緒に事件の内容について検討したり、実際の判決を起案して裁判官に講評してもらったりします(裁判修習)。

また、検察庁修習では、捜査記録を読んで起訴状を書いたり、被疑者の取調べの一部を担当させてもらえたりすることもあります。

弁護士修習もあり、割り当てられた法律事務所で指導担当弁護士に2か月間付きっきりで行動し、事務所経営も含め、弁護士業務の全てを学びます。

■どんな生活?

司法修習生は、研修医と公務員の中間のような生活です。

裁判修習と検察修習では、基本的に職員と同じように朝9時頃出勤し、夕方の定時には帰ります。その後は、修習生仲間や指導担当の教官に飲みに連れて行ってもらったり、各種の社会見学をすることも多いです。地方の検察庁では、ご遺体の司法解剖立会や海上保安庁の巡視船やヘリコプターに同乗することもあります。

地方都市での修習になると、普段東京からは遠くて行きにくい観光地巡りをすることもでき、旅行好きの人はかなり楽しめます。

ただ、修習開始前に就職が決まらなかった人は、法律事務所の面接等のために修習地から何度も就職希望地に足を運ぶ必要があり、地方から東京などへの交通費負担は結構重いようです。

ちなみに、司法修習は、47都道府県の県庁所在地にある裁判所と立川、旭川、釧路支部のいずれかに配属され、希望を出すこともできますが、基本的には裁判所当局が裁量で全国に割り振ります。若手独身者は、遠くに飛ばされ易いという噂もあります。

人気なのは、沖縄、札幌、福岡と就職活動に便利な東京です。修習の合間にダイビングやウィンタースポーツを楽しめる沖縄や札幌は、修習前に大手法律事務所の内定をもらった人の多くが希望し、福岡も生活しやすいことで人気です。

■二回試験

各地の裁判所や検察庁での10か月間の修習が終わると、最後に埼玉県和光市にある司法研修所に集まって2か月間集中講義を受け、卒業試験を受けます。司法試験に通ったのに法曹になる直前にもう1回試験があるので、二回試験と呼ばれます。

合格率は90%ほどですが、落第すると1年間浪人して再受験し、合格しないと司法試験に受かっていても法曹になれません(司法研修所によると人生で3回までしか受験できない運用だそうです)。

合格発表では、2,000人弱の修習生のなかの「不合格者」の受験番号が掲示され、自分の番号がなければ無事法曹になることができます。おそらく日本で唯一、合格者ではなく、不合格者を発表する試験ではないでしょうか。

星野宏明
星野 宏明 ほしのひろあき

星野・長塚・木川法律事務所

東京都港区西新橋1‐21‐8 弁護士ビル303

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