Jリーグの浦和レッズ対サガン鳥栖戦において、「Japanese Only」という横断幕が掲げられていたということが問題になっており、浦和レッズが調査に乗り出していると報じられています。
このような表現はどのような法的な問題を生じさせるのか、検討してみたいと思います。
「Japanese Only」というのは、一般的に「外国人お断り」という意味になります。これは外国人を差別するような表現であるといえます。
憲法14条1項は「人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない」とされ、また、日本は世界人権宣言を批准しており、世界人権宣言では「すべて人は、人種、皮膚の色、性、言語、宗教、政治上その他の意見、国民的若しくは社会的出身、財産、門地その他の地位又はこれに類するいかなる事由による差別をも受けることなく、この宣言に掲げるすべての権利と自由とを享有することができる。」とされています。
したがって、外国人であるからといって差別をすることは許されることではありません。そのため、これらのことをしようとする人については、それをやめるように請求することができます。
では、やられてしまった場合はどのような法的責任を発生させるのでしょうか。
これによって不快感を感じる人がいると思われるので、そのような人は、行為者に対して慰謝料を求めていくことは一応可能ではないかと思います。ただ、特定個人に向けたものではないと思われるため、慰謝料が発生するとしても、その額は少なくなると思われます。
また、あまりにひどい表現が個人や団体に向けてされた場合であれば、名誉棄損罪や侮辱罪の適用があり得ます。しかし今回は、特定の個人や団体に向けてされたということは、少々難しいように思われるので、この適用は難しいのではないかと思います。
このような表現は妥当ではないとは思われますが、他方で表現の自由も保障されています。そのため、どこまでを規制するべきなのかということは難しい問題になってきます。
発信をする個々人が節度を持った表現を心がけるべきではないかと思います。