1月23日朝、大人気のスマホゲーム「パズル&ドラゴンズ」がアップデートによりアクセスが集中したため接続しづらい状態になったそうです。
公式サイトや公式twitterアカウントからはトラブル予防のために時間を置いてアクセスすることを推奨するコメントが随時発表されていたようです。現時点では無事サービスの再開が確認できたとの発表があり、ファンはほっと一安心といったところでしょう。
ところでこういった最近人気のオンラインゲームには有料のアイテムを購入するなどする課金ユーザも存在します。せっかく手に入れた優良アイテムを使おうとしてゲームそのものが利用できないとなったらイライラしますよね。
今回の件を教訓に、課金しているゲームに不具合があった場合に、ユーザはどういう立場に置かれるのかということを解説したいと思います。
ゲームを利用していて発生する不具合の中で最も深刻なものは、ゲームを利用できないということではないかと思います。利用できない代表的なパターンとしては以下の3つが考えられます。
(1)ログインができない
(2)強制退会(サービスの利用を中止)させられた
(3)サービス(ゲーム)の提供が終了した
ログインができないといっても、IDやパスワードを忘れてしまったということであれば自己責任ですが、通信が混雑して利用できないという場合、それは誰の責任になるのでしょうか。
この点は、利用規約を確認する必要があるのですが、利用規約には「本アプリケーションを楽しむ際に障害が起きないという保証をするものではありません」としてあり、障害が起きないことの保証を否定しています。
また、強制退会(サービス利用の中止)についても、利用規約において、サービス提供側が禁止行為に当たると判断した場合に可能であるとしています。
さらに、サービス(ゲーム)の提供が終了したという場合については明記がありませんでしたが、利用規約において、「連続使用ができること」の保証のほか、あらゆる保証を否定していることから、これをもってサービスの継続的な提供も保障されていないと解釈できます。
したがって、いずれの場合でもユーザが不具合を受忍しなければならないという扱いに、規約上はなっています。
しかし、たとえば、身に覚えがないにもかかわらず、突然強制退会をさせられたという場合、これを争うことは全くできないのでしょうか。
この点については、消費者契約法10条は消費者の利益を一方的に害する条項を無効としています。利用規約は提供者側が一方的に定めているもので、内容も一方的なものであることが多いため、同条によって無効を主張する余地があると思われ、争う余地はあると思います。
それでは、争う余地があるとして、どのようなことを言えるのでしょうか。
■プレイ時間を返せ?
たとえば、今までプレイしてきた時間が無駄になった(あるいは、キャラクターを強くしたのにそれが無駄になった)からその時間を返せ(損害賠償しろ)、ということは言えるでしょうか。
この点は、ゲームをやるかどうかという判断は自分でしているものである以上、このような損害賠償は通常認められないでしょう。
■課金アイテムを払い戻せ?
では、有料のアイテムを購入していたから、その利用料を返せということは言えるでしょうか。
アイテムの購入というと、まるでアイテムの所有権があるように感じますが、データの限定的なサービス利用権を付与しているだけというのが基本的な理解になると思われます。そして、アイテムはゲーム内でしか使用できませんから、ゲームをプレイすることができる間だけ使用できるということが当然の前提となります。
そうすると、アイテムを購入した直後にゲームの利用ができなくなったといった事情がない限り、利用料を返せということも難しいのではないかと思います。
■のめり込みは避けるべき?
とはいえ、何かしら言っていきたいという場合もあると思います。
その場合、どのような証拠があるかということが一つのポイントとなります。サービスの提供が終了してしまった場合は、利用規約も運営会社の表示も何もかも削除されてしまうおそれがあります。
そのため、そのようなことが起こっても大丈夫なように、利用規約や運営会社の表示をプリントアウトしたりしておくべきでしょう。
また、実際に交渉をし始めた際には、言った言わないという水掛け論になることを避けるため、きちんと記録(たとえば録音)を取るようにしましょう。
以上、課金ユーザが知っておくべきことについてお伝えしてきましたが、オンラインゲームの利用に関して裁判などをしていくということは非常に大変なことです。
そのため、何かあっても「まぁ仕方がないか」と思える範囲で利用することが、一番いいのではないでしょうか。