きな臭い「Google Glass」日本発売に違法性は?

スマホの次のトレンドとして期待されるウェラブルコンピュータ。その先駆けのひとつとして「Google Glass」というアイテムが注目されています。

先日、それが日本でも発売されるという驚きのニュースが飛び込んできたのですが、並行輸入販売という形をとっており、Google公式販売ではないということで、製品を心待ちにするファンにとっては手放しで喜べない微妙な状況となっています。

Googleが公式販売発表をしていないなか販売することに違法性はないのか、検証してみたいと思います。

きな臭いGoogleGlass

Google Glassは並行輸入販売をするということですが、まずそもそも並行輸入販売自体に問題はないのでしょうか。ネット通販などをしている方からすれば、並行輸入販売は許されて当然という意識がもしかするとあるかもしれません。しかし、並行輸入販売は常に適法になるわけではありません。

■並行輸入販売の観点からチェック

並行輸入販売が適法になるためには、以下を満たすことが必要とされています。

(1)真正な商品であること

(2)外国商標権者と内国商標権者とが実質的に同一であること

(3)並行輸入品と内国販売品の品質が同一であること

今回の件にあてはめてみると、(1)Google Glassは米国Google社が製造しているものですから真正商品といえるでしょう。また、(2)米国Google社と日本Google社とが実質的に同一といえるかという問題は多少なりともありますが、この点もクリアしえると思います。では、(3)品質が同一といえるのでしょうか。

この点について調べてみましたが、日本でもGoogle Glassを使用することはできるようであるものの、かなりの知識がないと使用することは難しそうだという印象ですし、機能の制限も受けてしまうようです(参考:Google Glass狂想曲 – 日本人よ悪徳並行輸入に騙されるな!本当はこんな感じです | Overtex Times by 朝山貴生)。

そうすると、Google Glassという「物自体」は同一であるとしても、実質的には品質が同一であるとはいえないと言い得る余地が出てきます。

したがって、「物自体」が同一である以上品質が変わらないという見方ができるものの、実質的な品質という点からは同一ではないということで、この点から並行輸入販売が違法になる可能性もゼロではないと考えます。

■特定商取引法の観点からチェック

次に、通信販売においては特定商取引法の適用があり、ウェブサイト上に一定の表示をする必要があります。Google Glassを販売しているウェブサイト(舶来モバイル)では、法律上規定のある必要的記載事項については、形式的には一応記載されていますが、記載に不備があるように思われます。

現時点で「引き渡し時期」の項目は以下のようになっています。

通常の商品売買契約とは大きく異なる特別な商品売買契約。 注文者の支払った商品代金をまとめてプールして原資にし、メーカー等仕入れ先に注文し、仕入れ代金を前支払いし、輸入販売を行う。注文者の支払った商品代金は保全されない。 返金原資がないため、売買契約成立後の契約解除、キャンセル、返品、返金は一切行えない。 返済原資がないため、メーカー等仕入先が倒産等の理由で商品が仕入れられなくなった場合は納品できず、補償できず、責任を負わない。 納期は注文者に予告なく独自に調整する。納期の予想、確約、回答は問い合わせを受けても行わない。

「引き渡し時期」については、商品が手元に届く時期が消費者にとって明確に把握できるような方法でなされる必要があるところ、これらの記載では、購入時に手元に届く時期を明確に把握できない記載となっています。そのため、「引き渡し時期」の表示義務が果たされたとはいえないと判断できます。

また、「売買契約成立後の契約解除、キャンセル、返品、返金は一切行えない」、「返済原資がないため、メーカー等仕入先が倒産等の理由で商品が仕入れられなくなった場合は納品できず、補償できず、責任を負わない」などという点については、消費者の利益を一方的に害する条項であるとして、無効になる可能性もあります(消費者契約法10条)。

注文をしても届かないということがあり得ますし、届いても使えないということになりかねないように思えるので、Google Glassが日本でも公式販売されることを待った方がよさそうです。

清水 陽平 しみずようへい

法律事務所アルシエン

東京都千代田区霞ヶ関3-6-15 霞ヶ関MHタワーズ2F

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