バカッターの事例が数を増す中、あなた自身もお酒の勢いなどでその当事者となってしまう可能性も全くゼロではありません。
もし、バカッターのせいで会社から辞職を命じられたら、法的にそれを拒否する余地はあるのでしょうか?あるニュースの事例をもとに検証してみます。
米大手ネット企業の女性広報部長がtwitterで人種差別的な発言をして炎上し、すぐさま解雇されるという事例がありました。この方は飛行機に乗る前に書き込みをし、機上ではネットができなかったため12時間後に目的地の空港に着いたところで確認したところ既に大炎上していたということでした。
■即解雇できるか日本では微妙
会社がとりうる措置としては「懲戒解雇」ということになるでしょう。ただ、ここでは米国と日本における、懲戒解雇に対する考え方の違いがありますので、日本において「即解雇」ができるかどうかと言われると、微妙だと思います。
米国では「解雇」については相当緩やかに考えられており、日本では終身雇用の伝統が残っているせいか「解雇」については相当厳しく考えられています。
人種差別な発言をすることはもちろん悪いことではありますが、これにより具体的に特定の個人に対する精神的な損害を及ぼしたというわけではなく、また、この発言が犯罪を構成するわけでもありません。
そういう観点からしますと、もし日本でこの解雇について「不当だ」といって裁判で争うと、裁判所は「まず、戒告なり、減給処分、降格処分なりを経ずして、いきなり懲戒解雇は行き過ぎだ」として解雇は認められないということになりそうです。
では、どういう場合であれば、一発で懲戒解雇もOKとなるのでしょうか?
■一発で懲戒解雇になるケース
従業員の行為が犯罪を構成する場合であれば、問題なく一発で懲戒解雇が認められるでしょう。バカッターの投稿が、以前にも紹介したような事例にあたるような場合であれば、もはや会社の辞職命令を拒否する余地はありません。
その他にも、会社の名誉を大幅に毀損するような投稿が行われた場合、会社の機密事項を漏らすような投稿が行われた場合にも、会社からの辞職命令を拒否する余地はないと言わざるを得ないでしょう。
自らの不適切な投稿で会社から懲戒解雇を命じられた場合には、一度それが正当かどうか弁護士に相談してみることをお勧めします。逆に、このようなバカッターが多くなってきた現在、会社の方でも就業規則で、懲戒解雇のできる事例をある程度整理して記載しておくなどの自衛手段をとっておくことをお勧めします。