風俗店で勤務する女性から、
お客さんとして店に来た男性から「生活を援助したい」という申し出があり、金銭を受領した。
しかしその後、「店を辞めろ」「自分と店の外で会え」などと迫られて困っている
というご相談を受け、弊所が介入いたしました。
男性の行為は、お金を貸したわけではありませんから「贈与契約」に該当いたします。
そのため、原則として返還を求めることはできません。
また、お客さんからお金を受け取った行為は、お店の従業員としての行為としては問題があるかもしれませんが(雇用主であるお店からは何らかの処分を受ける可能性もあります)、お客さんとの関係では法的に問題があるわけではありません。
当職からは上記の旨を男性に伝え、「お金を返すことはできないし、店を辞める義務はない、また店の外で会うことはできない」と話をしました。
男性の話を聞くと、
「最初は良心から援助を申し出たが、援助を続けるうちに、自分をもっと特別視してもらいたいという気持ちが強くなり、行き過ぎた行動に出てしまった」
とのことでした。
男性との間で、
- 今後接触をしないこと
- 第三者に口外しないこと
- 女性との貸し借りがないこと
以上を確認する合意書を取り交わして本件の対応を終えました。
今回のケースでは比較的冷静に話をすることができましたが、感情的になっている相手との話し合いはこじれることも多く、ストーカー化するなど事態が悪化していくこともございます。
お店に相談できず、またご家族にも相談できない事案である可能性が高く、自分一人で抱えているうちに、収拾がつかなくなるなんてことにもなりかねません。
風俗店やキャバクラなどの飲食店でお勤めのキャストの方で、お客さんである方と個人的なトラブルを抱えてしまったときには、早めに弁護士にご相談いただく方が良いかと思います。
*執筆弁護士:若井 亮(若井綜合法律事務所。「迅速対応」「分かりやすい説明」「徹底した報告」をモットーとしている。不当要求への対応、詐欺被害への対応を多く経験している)
*画像はイメージです(pixta)