ある会社に勤めているAさんは、海外旅行のため1ヶ月前に有給休暇を申請。会社から承認され、飛行機やホテルの手配も終え、期日を待つばかりとなっていました。
ところが出発の1週間前になり、会社から「忙しいから出て。承認取消」と通告を受けたのだそう。Aさんは当然怒りに震え、「そんなものは無効だ!旅行にも予定通り向かう」と息巻いています。
しかしAさんには、「通告に逆らったらクビにされるのではないか…」という不安もあるとのこと。このような直近での「休暇承認取消」は有効なのでしょうか?
弁護士法人エースの竹内省吾弁護士に見解を聞いてみました!
Q.一ヶ月前に承認した有給休暇を直前に取り消し…これは認められる?
A.認められません
竹内弁護士:「有給休暇は労働基準法で決められた権利で、かつ、その労働者の日時指定により決定されるものです。
会社は、社員の有給休暇について時季変更権を有してはいますが、このケースのように一度承認している場合、時季変更権は行使できなくなります。
承認は社員が休む権利を認めるものではありませんが、承認があると、原則として休暇を動かすことはできなくなります。
特別休暇でも、一度承認した以上は、一方的に会社側から取り消すことはできず、あくまで、お願いベースということになります」
一度承認した有給休暇は、時季変更権を有している会社であっても動かすことは難しいとのこと。話し合いは必要になりますが、Aさんのようにすべての休暇予定を組んでしまっている場合は、「無理です」と断りましょう。
*取材協力弁護士:竹内 省吾(弁護士法人エース。企業法務・交通事故・不倫問題・残業代請求をはじめ、多岐分野に対応。弁護士とパラリーガルの緊密な連携により最短ルートで最善の解決へ。)
*取材・文:櫻井哲夫(本サイトでは弁護士様の回答をわかりやすく伝えるために日々奮闘し、丁寧な記事執筆を心がけております。仕事依頼も随時受け付けています)