会社が営業車にGPSを取り付け位置を管理…人権侵害じゃないの?

新入社員のMさんは、研修期間を終え現在先輩に同行し営業職を勉強中。日々自動車で得意先を回っていますが、あることに疑問を感じているそう。

それは、営業車にGPSが取り付けられ、居場所をつねに確認されていること。先輩によると、得意先周辺以外の場所に車を止めていると、あとで「何をしていたのか?」と聞かれることもあるのだといいます。

Mさんはこのことについて「人権侵害ではないのか」と憤りを感じています。法的に問題はないのでしょうか?

Q.会社が営業車にGPSを取り付け位置を管理…違法性はない?

 

A.営業車の会社所有で、位置情報の管理が業務時間内のみなら問題はありません

一口に営業車と言っても様々な態様があると思いますが、営業車が会社所有である場合は、問題はないものと思われます。

そして、位置情報の管理についてですが、業務時間内のみであること、そして、その位置情報の用途や管理の目的が、個人のプライバシーを侵害するような態様でない場合は、違法性はなく、人権侵害にはなりえません。

営業車の主な目的は当然ながら客先を回ること。仕事もせず娯楽施設に行くなどしている場合は、当然会社の所有物を不正利用しているということになります。

そのような営業車の不正利用を防ぎたいという目的でGPSを導入し、位置情報を管理するのは、会社としては正当な行為。しかし管理される側としては、不快感や違和感を持ってしまうのも致し方のないことです。

会社によっては社員に無断でGPSを搭載することもあるようですが、不愉快に感じる社員がいることも事実。事前に用途、目的などを説明し、理解してもらったうえで搭載・管理するのがベストではないでしょうか。

 

*取材・文:櫻井哲夫(本サイトでは弁護士様の回答をわかりやすく伝えるために日々奮闘し、丁寧な記事執筆を心がけております。仕事依頼も随時受け付けています

*監修:センチュリー法律事務所 小林 洋介弁護士(一つ一つのご相談には個性があり、解決策もさまざまです。それぞれのご相談の事情や時代の変化に応じて、既存の解決策にとらわれず、新しい解決策を常に模索し、提案し続けていきたいと考えております。)

小林 洋介 こばやしようすけ

弁護士法人IGT法律事務所

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