子供がいる夫婦の離婚が成立した場合、話し合いの上で決めておかないといけない重要なことのひとつに養育費があります。ですが、離婚後にお互いの状況が変わることはよくあります。
元配偶者に対して養育費の支払いを約束して離婚したが、その後、元配偶者が裕福な相手と再婚したとします。このようなケースでも、一度約束した養育費はそのまま支払わなければいけないのでしょうか。
●養育費は子を扶養するためにある
養育費は、元配偶者を扶養するためのものではなく、元配偶者との間の未成年の子を扶養するために支払われるものです。
そのため、元配偶者の再婚相手に十分な収入や資産があり、未成年者の子を問題なく扶養していけるような場合には、理論的には、元配偶者に対して養育費を支払う義務はなくなります。
ただし、一度取り決めた養育費については、元配偶者が裕福な相手と再婚したからといって、自動的に支払義務がなくなるわけではありません。
よって、自分だけの判断で勝手に養育費の支払いを止めたり、支払う金額を減額することはできません。
■互いの同意が必要
養育費の減免を求めるためには、元配偶者との間で、新たに合意を成立させる必要があります。
そして、元配偶者との間の任意の交渉において、養育費の減免を認めてもらうことが難しいような場合には、家庭裁判所に対して、養育費減額の調停・審判を申し立てる必要があります。
以上のとおり、一度約束した養育費を減免するためには、元配偶者との新たな合意や家庭裁判所の調停・審判といった手続が必要になりますので、自分の判断だけで養育費の支払いを止めたりはしないようにしてください。
*この記事は2015年9月に掲載されたものを再編集しています。
*著者:弁護士 理崎智英(高島総合法律事務所。離婚、男女問題、遺産相続、借金問題(破産、民事再生等)を多数取り扱っている。)
*さわだ ゆたか / PIXTA(ピクスタ)