桝添都知事が、東京都の魅力を世界に発信するために作成されたキャッチコピーとロゴ「&TOKYO」を発表しました。
オリンピックのエンブレムの盗作騒動のこともあり、今回のキャッチコピーの発表前には類似するロゴデザインの有無について慎重に調査を行った様です。
しかし、またもや海外のブランドのロゴと似ていると指摘されるなど波紋を広げています。これらの指摘を受け、桝添都知事は記者会見で「ロゴは記号だから著作権はない」との見解を示したそうです。
つまり文字列だから著作権は発生しないという見解ですが、これは法的にみて本当なのでしょうか。
■問題点はどこ?
ここでの問題は、「&TOKYO」という文字列の問題ではなく、「&TOKYO」という文字列をデザインしたロゴが著作権の対象になるかどうかという点です。
「&TOKYO」という文字列自体を問題にすれば、桝添都知事の見解のとおり、単なる文字という記号であるため、著作権の問題は生じないことになります。
しかし、これと文字をデザインしたロゴを同列に論じることはできません。
デザインを施した場合には、デザインされたものは「思想又は感情を創作的に表現したもの」といえるのが通常であるため、著作権が発生すると考えた方が無難です。
桝添都知事の見解を前提にすると、文字や記号をデザインしたものには常に著作権が生じないことになりますが、そのような見解はデザインの価値を認めない不当なものといえるでしょう。
桝添都知事の見解は、単なる文字列とデザインされたものという違いがあることを見落としてしまったために起こったものではないでしょうか。
*著者:弁護士 清水陽平(法律事務所アルシエン。インターネット上でされる誹謗中傷への対策、炎上対策のほか、名誉・プライバシー関連訴訟などに対応。)