保育園、幼稚園、小学校で暴力癖のある子がいることはよくあります。このようなクラスメイトがいる場合、親はどのようにして我が子を守るべきでしょうか。
私も二人の子どもを育てましたので、自分の子が他の子を泣かせてしまったり、あるいは逆にいじめられたりしたことがあります。親としては、はらはらするばかりですが、どのようにしたら良いでしょうか。
若いころですが、弁護士会の子どもの権利委員会に参加したことがあります。先輩弁護士からいろいろと対処法や考え方を教わりました。私なりに整理すると次のとおりです。
●子どものとのコミュニケーションが最も大事
一番大事なことは子どもとのコミュニケーションです。幼稚園や学校であったことを日頃から良く聞くことです。
毎日聞いていれば、子どもの変化に気付きます。子どもも小学校高学年になると親に心配させまいとして、いじめられていても、親にも教師にも言わないことがありますが、毎日子どもとコミュニケーションを取っていれば、ほとんど分かると思います。
●担任とのコミュニケーションも
次は、担任とのコミュニケーションです。担任とまめに連絡を取り合い、子どもの様子を聞くことです。幼稚園だと親が迎えに行くので、担任との会話も簡単ですが、小学校になるとそうは行きません。なるべく学校行事に参加して、担任との会話の機会を作るべきです。
これは、担任から子どもの情報を収集するためということもありますが、それよりも何かあった時にすぐに担任に相談出来るように担任との信頼関係を作るのが目的です。
従って、担任に過度の要求をしてクレーマーと思われないことも大事です。誰でも我が子が可愛いものですが、担任は預かっている子ども全てを平等に扱いますので、我が子だけを特別視して欲しいというように思われてはいけません。
子どもの異常については、担任よりも親が先に気付くことが多いものです。担任は複数の子どもを預かっているので仕方ありません。
異常に気付いたらすぐに行動に移してください。担任と相談し、改善方法を模索してください。担任が頼りない時は、教頭や校長に相談してください。校長が頼りない時もあります。その時は、教育委員会に相談するか、あるいは、各地の弁護士会に相談してください。
●異変に気がついたら
各地の弁護士会には、子どもの権利に関する相談窓口があります。単なる仲間はずれなどのいじめなら、学校内で処理できますが、暴力、破壊行為あるいは金銭が絡んでくると明白な犯罪ですから、学校内で処理できません。
子ども同士だからと言って、穏便に処理しようとすると、傷を深めます。警察か弁護士会に相談することです。一人で悩まずに、必ず第三者に相談してください。
だれでもそうですが、自分の子どものことになると、視野狭窄になります。信頼出来る第三者に相談することです。長年弁護士をしていますので、学校を運営する地自体相手の裁判を何度か経験しています。裁判になるような事例は、担任、教頭、校長、教育委員会すべてが、官僚的な事なかれ主義の時です。いくら学校関係者に親が言っても対処してくれません。
逆に、教職員組合の顧問をしていたこともあるので、指導熱心な教師が沢山いることも知っています。
なお、子どもが不登校になった場合は、無理に学校に行かせるのではなく、フリースクールなどの選択肢もあることを知ってください。子どもによっては、今の学校の集団生活になじめない子がいます。無理に行かせることは子どもに苦痛しか与えません。弁護士会ではそのような相談も受け付けています。
一番大事なことは自分の子どもを愛すること、信頼することです。子育ては大変ですが、終わってしまえばあっという間です。
*著者:弁護士 星正秀(星法律事務所。離婚、相続などの家事事件や不動産、貸金などの一般的な民事事件を中心に、刑事事件や会社の顧問などもこなす。)