社内不倫している事実を会社にチクる人がいた場合その人の行為は違法になるのかと聞かれれば、原則として違法となります。
不倫という事実を不特定多数が知りうる状態にすれば、刑法230条の名誉毀損罪(3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金)になります。
不特定多数が知りうる状態になることが必要ですから、口の堅い同僚数人にだけ話すような行為は、名誉毀損にはなりません。
しかし、口が堅いと思っていた同僚が実は軽い人だったような場合は、結果的に犯罪となり得ますので、口外しない方が無難です。
また、刑事事件として違法であれば、当然、民事事件としても違法ですから、ばらされた人はばらした人を相手に慰謝料や損害賠償を求め、民事裁判を提起できます。
●違法とならないケースもある
例外的に、違法にならない場合もあり得ます。例えば、経理の女性社員と不倫関係になり、会社の内規では落とせない領収証を落としてもらったような場合です。この場合には、不正経理をただすために不倫の事実を口外せざるを得ないと考えられるかです。
実際に不倫の事実をばらされ、会社に居づらくなり退社するような事案は結構多いです。そのような場合に、誰がばらしたかが分かれば、その人を名誉毀損で訴えることが出来ます。
しかし、現実問題として、刑事告訴をしたり、民事裁判をする人はほとんどいません。多分、そのような告訴や裁判をすれば、もっと自分の名誉を毀損するからだと思います。
*著者:弁護士 星正秀(星法律事務所。離婚、相続などの家事事件や不動産、貸金などの一般的な民事事件を中心に、刑事事件や会社の顧問などもこなす。)
*画像:Sergey Peterman