少年院の存在は知られていても、どのような種類があって、どのようなことが行われているのかはなかなか知られていないように思います。
普段なかなか接する事のない少年院について今回は紹介したいと思います。
まず、日本には大きく分けて4種類の少年院(初等、中等、特月、医療)が設けられています。
●初等少年院
義務教育が終わっていない概ね16歳未満の者を収容する施設です。
●中等少年院
概ね20歳未満の少年を収容するところで、非行内容としては、窃盗・傷害・暴走・ひき逃げ・恐喝・強盗・強姦など比較的重い犯罪が多くなっています。
●特別少年院
心身に著しい支障はないものの、さらに犯罪傾向が進んでいる概ね16歳以上の少年を収容するための施設です。強盗傷害・強盗致傷・強姦致傷・傷害致死・殺人未遂など、極めて重い犯罪行為が多いです。
●医療少年院
最後に、医療少年院というものもあり、心身に支障がある少年を収容し、精神的・身体的な疾患を治療しながら、社会復帰を目指す施設です。
また、少年院送致の中でも、短期処遇から長期処遇まであり、入る期間も当然事案ごとにそれぞれです。
●普通の刑務所と結構違う生活
成人が入る普通の刑務所では、毎日決まった時間に起き、刑務作業をして、わずかな休憩時間を挟んで、決まった時間に就寝するのが日課です。つまり、成人刑務所では、1日の中心は、刑務作業を行うことにあります。
懲役刑を科されているわけですから、いわば刑務作業をする生活を繰り返すのは当たり前ともいえます。
これに対し、少年院では、少年法の趣旨、存在意義に沿って、少年の更生に力点が置かれています。具体的には、刑務作業ではなく、勉強や生活指導から、職業訓練(成人刑務所でも希望者は受講可能)にも力を入れています。
生活指導では、これまでの人生を振り返り、善悪の区別、自らを制御する方法、被害者の気持ちを繰り返し考えることになります。
社会復帰後、生活困窮から再犯に及ばないよう、専門的な知識・技能技術を身に着けることができるようカリキュラムが組まれています。
レクリエーションや行事等の活動も、成人刑務所よりは頻繁にあり、自由度も高いことが多いです。
●少年院を見学すると分かる事
普段、成人刑務所や少年院を見学することはあまりないと思いますが、見学してみると、厳重な警備と規律の中でも、社会復帰後を見据えて真面目に生きている収容者が多くいることに驚かされます。
施設の近くの地域では、稀に地元住民向けの交流会や見学会(説明会)が開催されることもありますので、興味のある方は、参加されてみてはいかがでしょうか。
*著者:弁護士 星野宏明(星野法律事務所。顧問法務、不動産、太陽光自然エネルギー、中 国法務、農業、不貞による慰謝料、外国人の離婚事件等が専門。)