読者のみなさんの中には、「今日は奢るよ」などと、付き合っている彼氏から食事をごちそうしてもらったり、プレゼントを買ってもらったりしたことがある人もいらっしゃるかと思います。
それでは、彼氏と別れる際、彼氏から「今までお前のために使ったお金を返せ!」とか「プレゼントした物を返せ!」などと要求された場合、お金やプレゼントされた物を返す必要はあるのでしょうか。
●返す必要はない!
結論としては、お金やプレゼントを返す必要はありません。
理由は、法律上、彼氏から彼女に対して贈与契約が成立しているためです。
具体的には、「書面によらない贈与契約」ということになります。
書面によらない贈与契約は、いったん履行したあとは、撤回することができません。
そのため、彼女に対して食事をごちそうしたり、プレゼントを渡したあとは、もはや食事代を返せとかプレゼントを返せなどと主張することができないということです。
●「別れたら返してね」と言われていたら?
もっとも、食事をごちそうされたり、プレゼントをもらう際、彼氏が何らかの条件を付けていた場合、食事代やプレゼントとしてもらった物を返さなければいけない可能性はあります。
これを「負担付贈与」と言います。
たとえば、彼氏から「俺と別れた場合には返してくれ。」という条件付きで食事をごちそうされたり、プレゼントをもらったような場合には、彼氏と別れた際には食事代やプレゼント代を彼氏に返さなければならない可能性があるということです。
もっとも、上記のような条件は、お金や物で恋愛を拘束するものなので、公序良俗に反して無効と判断される可能性が高いかもしれません。
*著者:弁護士 理崎智英(高島総合法律事務所。離婚、男女問題、遺産相続、借金問題(破産、民事再生等)を多数取り扱っている。)