離婚には、大きく分けて、協議離婚、調停離婚、裁判離婚という種類があることは、なんとなく知っているという方が多いと思います。
ただ、どのような場合に場合に調停離婚になるのか、調停では具体的にどのようなことが行われるのか、裁判離婚になるのはどのような場合かについてはあまり詳しく知らないと思います。
そこで、今回は、協議離婚、調停離婚、裁判離婚について、手続の選択や手続の内容について、詳しく説明していきます。
●協議離婚について
協議離婚とは、離婚当事者双方の合意によって成立する手続で、離婚のほとんどがこの協議離婚です。
具体的には、双方が離婚届(市区町村役場の窓口に備え付けてあります。)に署名・捺印し(成人の証人2人以上の署名も必要)、役所に提出することによって離婚が成立することになります。
早期に離婚を成立させたいという場合には、協議離婚を選択することが賢明です。
●調停離婚について
当事者の話合いでは解決できない場合、家庭裁判所に対して離婚調停を申し立てることになります。
日本では、調停前置主義が採用されていますので、話合いが決裂したからといって、いきなり裁判を起こすことはできず、まずは調停を申し立てる必要があるということです。
また、離婚調停は、相手方(調停を申し立てられる側)の居所を管轄する家庭裁判所に申し立てる必要がありますので、すでに別居していて、相手方が遠方に居住しているという場合には、相手方の居所を管轄する家庭裁判所まで調停の都度出廷しなければならないという点は注意が必要です。
離婚調停では、男女1名ずつの調停委員が、当事者双方から交互に話を聞いたうえで、当事者双方が納得する形での調停条項の案を提案し、最終的には、当事者双方が合意すれば、調停離婚が成立することになります。
期日は、原則として1か月に1回のペースで行われます。
早ければ第1回目の調停時に調停が成立することもありますが、離婚の条件等がまとまらずに調停成立まで1年以上かかってしまうようなケースもあります。
なお、調停といっても、最終的には離婚当事者の双方の合意が必要ですので、当事者の一方が離婚を拒否した場合には、最終的には解決に至らずに、調停が不調により終了することになります。
●裁判離婚について
調停が不調により終了した場合、相手に対して訴訟を提起して離婚を求めていくことになります。
訴訟では一方的に離婚を請求するわけですから、離婚が認められるためには、離婚原因が必要となります。
そのため、訴訟では、主に法律上の離婚原因があるか否かについて審理されます。
法律上の離婚原因は、下記のとおりです。
1…不貞行為(1号)
2…悪意の遺棄(2号)
3…3年以上の生死不明(3号)
4…強度の精神病で、回復の見込みがないこと(4号)
5…その他婚姻を継続し難い重大な事由(5号)
離婚を求める方の当事者が、上記1から5の事由を証明することができれば、判決によって離婚が認められることになります。
以上のように、日本では上記3つの制度がありますが、協議離婚で済むに越したことはないのは言うまでもないですね。
*著者:弁護士 理崎智英(高島総合法律事務所。離婚、男女問題、遺産相続、借金問題(破産、民事再生等)を多数取り扱っている。)