会社員ならば、1度は会社を辞めたいと思うときがあると思います。
私も大学を卒業しあまり考えずにある企業に就職しましたが、社風に合わずすぐにやめた経験があります。当時は、法律のことなど全く知らなかったので、口頭でやめると宣言し、そのままやめてしまいました。
しかし、再就職が難しいのは今も昔も同じです。よく考えてやめるべきですし、退職の際の法的なことも知っておくと良いと思います。
よくよく考えて、いよいよやめると決心したときは、まずは上司にその旨相談してください。そして、出来るならば、会社都合退職にしてもらってください。自己都合退職だと、失業保険の割合が減りますから。詳しくは、色々なさサイトで紹介されているのでそちらを参照して下さい。
それでは具体的な書き方や退職届と退職願の違いについて解説していきます。
●退職届と退職願の違い
会社との話し合いがうまくいかないときは、書面を書いて退社の意思をはっきりさせるべきです。その際に書く書面はいわゆる辞表ですが、法的には、退職届と退職願の2種類があると言われています。
退職届は、退職の意思が確定的な場合であり、その後、その意思を撤回できないと言われています。退職願は、そこまでの強い意思ではなく、会社が退職を認めるまでは撤回できると言われています。
ただ、それほど大きな差はないと思います。退職願と言う書面でも、それを書くには多大な決心が必要だったはずであり、後に撤回することなどほとんどないからです。逆に退職届を出しても会社に強く慰留され、退職を撤回することもたまにあります。
●退職届の書き方
退職届あるいは退職願の書き方に定型はありませんが、表題(退職届あるいは退職願)、退職の意思の表明、日付、署名、印鑑が必要です。ネットを見ると書式がありますから参考にしたら良いと思います。
注意点は、同じ書面を2通作り、1通を会社のしかるべき人に渡し、渡した際にもう1通に受領印あるいはサインをもらうことです。そうしておかないと握りつぶされるおそれがあります。
退職届あるいは退職願を出して退職した場合でも、事案によっては、会社都合退職として扱われることもあります。サービス残業をやらされたとかパワハラに遭いやめざるを得なかったような場合です。会社が会社都合退職を認めない場合でも、労基署や職安が会社都合退職を認めることも結構あります。
人生の3分の1の時間は職場にいます。あわない職場で無理する必要はありませんが、軽率に退職し、条件の良い再就職が見つからないこともあります。人生の分岐点になる決断です。よく考えて行動して下さい。
*著者:弁護士 星正秀(星法律事務所。離婚、相続などの家事事件や不動産、貸金などの一般的な民事事件を中心に、刑事事件や会社の顧問などもこなす。)