ロシア首相の公式ツイッターアカウントが乗っ取られ、「辞任して写真家になる」「私は辞任する。政府の活動は恥ずべきだ」という趣旨のツイートがされたようです。
ネット上では乗っ取った犯人に対して「命がけで逃げないと…」という意見もあるようですが、仮に日本で同じことが起こった場合にはどのような罪になるでしょうか。
■不正アクセス禁止法違反
ツイッターはパスワードを入力してログインするサイトであるため、乗っ取りをするためにはパスワードを知る必要があります。乗っ取り犯は、パスワードを入力してつぶやいたわけなので、不正ログインをしたということになります。
そのため、不正アクセス禁止法に抵触することになり、3年以下の懲役又は100万円以下の罰金となる可能性があります。
■名誉毀損罪
ツイートの内容が、乗っ取られた人物の社会的評価の低下を招くものである場合、名誉毀損になる可能性があります。
今回のケースでは、「私は辞任する。政府の活動は恥ずべきだ」とツイートしたようなのですが、現職のロシア首相が突然政府批判をすれば、頭がおかしくなったのではないか?などといった評価がされてしまうおそれもあります。
そのため、社会的評価の低下があるということは可能だろうと思います。名誉毀損罪は3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金とされています。
このように、日本では乗っ取りをしても「命をかける」というところまではいきません(もちろん、ロシアでもそこまで重い罪というわけではないのでしょうが…)。
最近はLINEの乗っ取りも含めて、乗っ取りが多くなってきているように思います。
IDとパスワードの管理は自己責任なので、外部に漏れることがないよう、きちんと管理するようにしましょう。
*著者:弁護士 清水陽平(法律事務所アルシエン。インターネット上でされる誹謗中傷への対策、炎上対策のほか、名誉・プライバシー関連訴訟などに対応。)
*画像はロシア首相のツイッター画面