隅田川花火大会後のゴミの山が波紋…ポイ捨てで問われる罪はかなり重い

先日開催されたブラジルでのワールドカップでは、日本人サポーターが試合後ゴミ拾いをして帰ったということが海外で話題となり、マスコミで大きく取り上げられました。日本人のマナーのよさを改めて認識させられる心温まるニュースでした。

にもかかわらず、国内では花火大会の後のゴミが大きな問題となっています。花火大会終了後にビン・カン・ペットボトル、食べ物の容器、その他いろいろなゴミがそこらじゅうに放置されているというのです。

花火大会に集まる人間はかなりの人数になるので、捨てられるゴミの量も半端じゃないそうです。

非常に残念なニュースなのですが、ところで、このゴミの不法投棄は法律上どのような罪に問われるのでしょうか。ゴミのポイ捨てに関する罰則を説明したいと思います。花火

■ポイ捨てで問われる罪はかなり重い

ゴミのポイ捨てについて直接的に規定してある法律は「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(廃棄物処理法)です。この法律では、「何人も、みだりに廃棄物を捨ててはならない。」とされ、違反した場合は6か月以下の懲役または50万円以下の罰金とかなり重い罰則が定められています。

また、軽犯罪法でも罰則がさだめられており、「公共の利益に反してみだりにごみ、鳥獣の死体その他の汚物又は廃物を棄てた者」は拘留又は科料に処せられます。なお、拘留というのは30日未満の懲役、科料というのは1万円以下の罰金だと思っていただければいいでしょう。

また、各自治体でごみのポイ捨てにつき独自に条例を定め、罰則を設けているところもあります。たとえば新宿区などでは、「区民等は、道路、公園、広場、公開空地その他の公共の場所に空き缶等をみだりに捨ててはならない。」とされ、違反すると2万円以下の罰金が科せられます。なお、「区民等」とありますが、新宿区民以外の人であっても新宿内を通過した際にポイ捨てすればこの罰則が適用されますので、自分は新宿区民だから関係ないんだ、といった言い訳は通用しません。

 

■車から物を捨てるのもアウト

花火大会ではあまり関係ないでしょうが、自動車を運転している最中のポイ捨てについては、道路交通法で「石、ガラスびん、金属片その他道路上の人若しくは車両等を損傷するおそれのある物件を投げ、又は発射すること。前号に掲げるもののほか、道路において進行中の車両等から物件を投げること。」が禁止されており、違反すると拘留または科料に処せられます。

ゴミのポイ捨てについてはそれほど犯罪という意識がない人が多いのでしょうが、れっきとした犯罪です。実際に摘発されているケースもあります。たかがポイ捨てじゃないか、などと思わずに、ごみはしっかりとゴミ箱に捨てるか持ち帰るかしましょう。

 

*著者:弁護士 山口政貴(神楽坂中央法律事務所。サラリーマン経験後、弁護士に。借金問題や消費者被害等、社会的弱者や消費者側の事件のエキスパート。)

山口 政貴 やまぐちのりたか

神楽坂中央法律事務所

東京都新宿区津久戸町4-1 ASKビル2-B号室

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