お酒を飲んで気がゆるんでしまい、通勤電車の中でつい痴漢をしてしまった……。
そんなとき「会社や家族に知られずに解決する」なんてことは可能なのでしょうか?検証してみたいと思います。
■身柄解放が大前提
結論からいえば、罪状が軽微な場合、すぐに弁護士に頼めば、会社にも家族にも知られずに解決することは可能です。
ただし、逮捕に続き、勾留されてしまうと10日から20日間は警察署に留置されて家に帰れなくなりますので、会社や家族にはすぐ発覚してしまいます。
そのため、逮捕された場合は、すぐに当番弁護士を呼び、検察官の勾留請求を却下してもらうようにし、逮捕だけで家に帰れるようにすることが大前提です。
■釈放後の活動
勾留されずに在宅捜査となった場合、次は不起訴処分を目指すことになります。
起訴されてしまうと、平日に裁判所に出頭したり、罰金を課す略式命令が家に届いたりするので、会社や家族に発覚するおそれが非常に高いです。
そのため、弁護活動としては、被害者と早期に示談することを模索します。
示談と一口にいっても、いくら示談金を支払うか、示談書の文言として被害者にどこまでサインしてもらえるかで、その後の起訴・不起訴の処分は大きく影響されます。
例えば、被害者が「加害者を赦す」、「処罰を求めない」、「厳重な処罰までは求めない」などの示談文言にサインしてくれると、不起訴の方向に作用していくでしょう。
■不起訴処分後
示談が成立し、前科もなく、勤務先や家庭環境もしっかりしている場合、初犯で犯行態様が軽微なら、在宅のまま、最終的に不起訴処分となる可能性が高いです。
この場合、平日に裁判所に出頭することはなく、会社には基本的に何も連絡がいきませんし、家族が警察や検察から呼ばれて事情聴取を受けることもありません。
不起訴処分を告げる書面も、弁護士が代理で受け取るか、そもそも受け取りを希望しないこともできますので、運がよければ最後まで会社や家族に知られずに不起訴処分を得ることは可能です。
ただし、後からでも会社に発覚すれば懲戒処分の対象となることには注意してください。
*著者:弁護士 星野宏明(星野法律事務所。不貞による慰謝料請求、外国人の離婚事件、国際案件、中国法務、中小企業の法律相談、ペット訴訟等が専門。)