二重価格はダメ!楽天に消費者庁が要請した内容とは

昨年からネット界隈を中心に消費者を不安にさせている出来事、楽天株式会社の不当な二重価格表示問題に動きがありました。

この問題はそもそも、楽天市場において通常価格で販売しているにもかかわらず、通常価格の表示を釣り上げて半額以下のセールに見せかけるという行為を社員が主導していたのではないかという指摘に基づきます。

こういった行為があったとすれば公正な競争や消費者にとって安心できる買い物を阻害するものであり、遂に消費者庁が同社へ要請を行った、というのが今回のニュースです。内容について簡単に、弁護士の私が解説してみましょう。

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■不当表示は禁止されている

不当景品類及び不当表示防止法は、事業者の販売価格について一般消費者に実際のもの又は競争事業者に係るものよりも著しく有利であると誤認される表示を不当表示として規制しています(法第4条1項2号)。

今回、楽天市場で問題とされたのは、販売価格よりも高い他の価格を併記して表示するものです(二重価格表示)。併記された他の価格が適正であれば、消費者は通常よりも安い価格で商品を購入できますので、消費者の利益になるといえます。

例えば、期間限定セールとして通常販売している価格よりも値引きして売るときに、通常販売している価格を併記する場合です。

しかし、この併記された他の価格の内容が不適切であれば、消費者は誤った情報を与えられることになり、不利益を受けてしまいます。

例えば、期間限定セールとして、通常販売している価格を併記しているにも関わらず、その併記した価格で過去に販売されたことがなく、将来にも販売される予定がない場合です。この場合、消費者は安いと思って購入したら、全然安くなかったということになります。

 

■不当表示に対する行政庁による調査及び処分

不当表示が疑われる場合、行政による調査が行われます。

そして、不当表示が認めらる場合等では、行政指導が行われたり、措置命令等の行政処分が行われます。

今回の楽天株式会社の件に対しては、具体的な違反行為が把握されていないことや同社が営業倫理委員会の新設や監査体制の強化という再発防止策を実施したことから、今後景品表示法違反とならないための必要な処置をとることを要請するという行政指導の形で決着がついたようです。

 

■場合によっては詐欺になる

このような不当表示は、故意が認められ、表示内容が悪質であるような場合には、詐欺(刑法246条1項)として対処されることも考えられます。

二重価格表示が不当か否かは、幅があり、確実な判断は難しい場合もあります。消費者庁ではガイドラインも公表していますから、関係する事業主は参考にされると良いでしょう。

 

*著者:弁護士 荻原邦夫(りのは綜合法律事務所。刑事事件を主に取り扱っています。お客様に落ち着いていただき、理解していただけるよう対応します。)

*参照:楽天市場における表示の適正化について – 消費者庁(PDF)

荻原邦夫
荻原 邦夫

荻原法律事務所

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