最近はいわゆる「バカッター」などと呼ばれる一部の人間が過激で違法な行動をとり、その画像をツイッターに掲載し、これによって会社等が莫大な損害を被るという事件が頻発しています。
もはやツイッター利用者のモラルに任せるだけでは対処しきれない状態になりつつあります。このような状況では、ツイッターの規制もやむなしという声が上がってきても決して不思議ではありません。
プロ野球の巨人軍は新人選手に対して「野球を辞めるまで、たばことブログ、ツイッターを禁止する」という通達を発したそうです。
もっとも、一律にツイッター禁止ということまで認めてよいのかというと、それは行き過ぎではないかという意見もあります。仮に会社から「ツイッター一律禁止」という通達が出たが、その通達に反してツイッターをしたとしても、直ちに社内で処分が下されるということまではなかなか考えにくいでしょう。
ですので、会社がツイッター一律禁止という通達を出したとしても、それで直ちに通達違反とされるのではなく、ツイッターの内容によってケースバイケースで通達違反になるかどうかを判断するということになるのではないかと思われます。
では、実際にどのようなツイッターが通達違反と判断されるのでしょうか。
■どのようなツイッターが通達違反となる?
まず社内機密の開示については特に異論はないかと思います。社内機密をツイッターで暴露した場合は懲戒免職までありうるでしょう。民事上の損害賠償義務も負う可能性が高いです。
また、信用失墜行為、すなわち飲食店の倉庫や冷蔵庫で行われたバカッターの行為がこれに該当しますが、これは会社の信用を失墜させるツイッターですので、これもほぼ間違いなく通達違反で処分の対象となります。
逆に完全に会社と無関係な私的なツイッターについては、会社の不利益にはなりませんので、著しく不適切なものでない限り通達違反になる可能性は極めて低いと思われます。
実際に問題となってくるのはおそらく会社批判や内部告発といったたぐいのツイッターでしょう。嫌な上司がいる、残業代が出ない、社内で不正行為が行われている、などの内容をツイッターに掲載した場合です。これに関しては、一考の余地があります。
正当な目的に基づいて正しい批判や告発がなされた場合であれば、それは保護すべきであるという考えもあるでしょう。ただ、内部告発に関しては公益通報制度という法律上の制度が用意されていますので、ツイッターでの内部告発という方法はやはり不適切であると評価される可能性が高いのではないでしょうか。
■今後の動向に注意
ただ、ツイッターに関するトラブルは発生してからまだ日が浅いですので、今後事件が多数発生してくるにつれ、違法か合法化の判断基準が変わってくる可能性は十分あります。それゆえ、今後の判例の動向を注意深く見守っていきたいと思います。
なお、巨人軍の通達ですが、これは新人のうちは喫煙、ツイッターなどで無用なトラブルに巻き込まれずに野球一本に集中しろという趣旨の、いわば「努力目標」的なものであると評価すべきでしょう。
球団も選手がツイッターをやったからと言って直ちに契約解消などということはしないと思います。新人選手はトラブルなどに巻き込まれず、大いに成長してもらいたいものです。