日本人の平均寿命は、2012年の調査で、女性が86.41歳、男性が79.94歳です。同い年で結婚をすると、女性の方が平均で7年近く長生きすることになります。今は二人暮らしをしている女性も、いずれ「おひとりさま」になる可能性が高いのです。
そこで、今回は、夫に先立たれた「おひとりさま」に知っておいて欲しい法知識を3つご紹介します(※親や祖父母は既に亡くなっていることを前提とします)。
■1:子供がいないと、兄弟や甥っ子、姪っ子が相続人となる
夫に先立たれ、子供や孫もいない場合、その方が亡くなると兄弟や甥っ子姪っ子が相続人になります。
仲の良かった妹も一度も会ったことのない甥っ子も、民法で決まった相続分に従って相続することになってしまいます。
どうせなら、自分の財産は仲の良かった兄弟に多く相続させたいと思うのが人情だと思いますが、そのためには遺言を書いておく必要があります。
■2:いとこは相続人にならない
相続人になるのは、兄弟や甥っ子、姪っ子までです。それらの方がいないと、相続人不存在となり、遺産は国庫に帰属してしまいます。
いとこなどの仲の良い親戚がいたとしても、いとこに相続権はないのです。2012年度には375億円もの遺産が相続人不存在ということで国庫に帰属しています。
私も、1億円以上の遺産があるのに相続人が誰もおらず国庫に帰属してしまうという案件を何件も目にしています。もし、相続人がいない場合、やはり遺言を書いておいた方が良いでしょう。
■3:後見人を決めておける
「おひとりさま」で不安なのは、認知症などで判断能力が不十分になった場合の対応だと思います。
判断能力が不十分になった場合、本人に代わって後見人が財産管理や契約締結をすることになります。
そして、誰に後見人になってもらうかは、任意後見契約という制度を使えば、万が一の時に備えて、あらかじめ自分が信頼している人を後見人に指定しておくこともできるのです。
以上、3つの法知識についてお伝えしました。
老後のことや相続に不安があるとせっかくの余生も楽しく過ごせません。老後の不安を取り除き自分らしく生きるという「終活」には、法律知識もとても重要なのです。