新年会などでお酒を飲む機会が増えるこの時期、車を運転してきているのに飲まないといけない状況になってしまうこともあります。そんな時頼りになるのが、あなたに代わって車の運転をしてくれる運転代行サービスですよね。
しかし、万が一その車で事故を起こしてしまったとしたら、損害賠償は誰が払うことになるのでしょうか。サービス業者?それともあなた?
自分だけでなく周りの人にも教えてあげたい意外な事実を紹介します。
運転代行業は、飲酒により安全に自動車を運転する能力、適性を欠く顧客に代わり、顧客の自動車を安全に運行して目的地まで顧客を送り届けることを引き受けるサービスですから、運転代行業者が交通事故を起こして他人(顧客自身も含みます)に損害を与えれば、賠償責任を負うことになります(民法415条、同法709条、自賠法3条)。
■あなたにも責任が
これに対し、事故により第三者に怪我をさせると、運転代行サービスを利用した顧客も損賠賠償責任を負うことになります。
自賠法3条によると、「自己のために自動車を運行の用に供する者は、その運行によって他人の生命又は身体を害したときは、これによつて生じた損害を賠償する責に任ずる。」となっています(同法第3条本文)。
■運行の用に供する者とは
「自己のために自動車を運行の用に供する者」、すなわち「運行供用者」とは、自動車の使用についてコントロールできる立場にあり(運行支配)、その使用によって得られる利益(運行利益)が自己に帰属する者を言うとされています。
代行運転を依頼した顧客は、自らの意思で代行を依頼し、代行業者に対して必要な指示をなしうる立場にあり(運行支配)、また、代行運転により、安全に目的地まで送り届けられるという利益を享受する立場にありますので(運行利益)、運行供用者に該当すると考えられています。
したがって、運転代行を依頼した顧客は、たとえ泥酔していたとしても、怪我をした第三者に対する損害賠償責任を免れることはできません。
車の運行については業者任せで知らんぷり、ではいかないということでした。お酒を口にしたら運転代行を頼むのは当たり前のことですが、安全に帰るまで、自分が運転している気で注意することも必要だと言えそうです。