夫婦といえども「隠している過去」はあるのではないでしょうか。特に過去の恋愛は相手に知られたくないと感じることも多いようです。結婚3年目のKさんはそんな妻の恋愛遍歴に怒りを感じ、離婚を考えています。
妻のSNSから過去の同棲が発覚
Kさんはある日、妻がFacebookをやっていることを共通の知人から教えられます。検索してみると、かなり昔の投稿が閲覧できるようになっていました。
それを見ると、見知らぬ男性のことを「旦那」と呼び、仲睦まじく出かける写真が出てきます。妻の過去の恋愛を気にしていませんでしたが、よく見るとどうやら同棲していた様子。事実を知らされていなかったKさんは、深いショックを受けてしまいました。
「過去のこと」といわれるが…
妻に問いだしてみると、「結婚前提に同棲していたが、相手の浮気が発覚して別れた」「別れたあとにあなたと出会った」「投稿は昔のことで全く覚えていなかった」と話します。そして、「投稿は削除する」「過去のことで、今はなにもない」と理解を求められました。
Kさんは自分の度量の狭さに辟易としつつも、「同棲の事実を隠した」「投稿を削除せずに残していた」ことに不快感を覚え、別居や離婚を検討しています。仲の良い友人に相談すると、「誰にでも過去の恋愛はある」「お前だって嫁が初めてじゃないだろ」と諭されたのですが、どうしても許すことが出来ないそう。
過去の同棲がSNSで発覚したことに憤るKさん。妻は離婚を拒否していますが…。果たして離婚することは可能なのか。高島総合法律事務所の理崎智英弁護士に見解を伺いました。
離婚事由として認められるのか?
理崎弁護士:「基本的に、配偶者の過去の交際関係は離婚事由にはなりません。妻としては、結婚前の過去の交際関係や婚約の有無について結婚前に夫になる男性に報告する義務はないためです。
もっとも、夫との交際中に妻が夫以外の男性と交際していたことが結婚後に判明した場合には、離婚事由になり得ます。夫としては、妻との交際中、妻が二股をかけていることを知っていれば、妻とは結婚しなかった可能性があるからです。
ただ、本件では、妻が夫と交際中に、二股をかける形で他の男性と交際していたわけではなく、夫と交際するときにはすでに他の男性との同棲は解消されていますので、離婚事由としては認められないということになります。離婚事由がない限り、離婚請求は認められないので、妻が離婚を拒否する限り、夫が離婚する手段はありません」
関係修復を望みたいが…
憤るKさんですが、同棲関係解消後に交際を初めていることなどから、離婚事由としては認められない可能性が高いようです。ショックを受ける気持ちも理解は出来ますが、愛し合って結婚したわけですから、関係修復の道を探ってもらいたいですね。
*取材対応弁護士: 理崎智英(高島総合法律事務所。弁護士登録以来、離婚や不倫問題を中心に取り扱っており、多数の解決実績がある)
*取材・文:櫻井哲夫(本サイトでは弁護士様の回答をわかりやすく伝えるために日々奮闘し、丁寧な記事執筆を心がけております。仕事依頼も随時受け付けています)