先日ある女性タレントと男性俳優が離婚を発表。仲の良い夫婦だと思われていただけに、驚きが広がりました。
子供の有無を巡って意見に相違
双方が離婚原因として挙げたのが、「子供の有無」。男性俳優側は妻に子供を産んでもらい、家庭を持つことを望んでいましたが、妻の女優は舞台などの仕事継続を希望。話し合いを進めたものの溝が埋まらず、離婚に至ったといいます。
妻側は既に新恋人を作っており、交際を進めている様子。男性は子に囲まれ、一般的に「幸せ」と呼ばれる家庭を望んでおり、それを拒否されたうえ離婚、かつ新恋人まで作られたのでは溜まったものではなく、慰謝料を請求したくなってしまいます。
一方妻側についても「仕事があるのに勝手に子供がほしいといわれてはたまらない」「妻の収入で暮らしていると思われるのに子供を望むのはどうなんだ」「仕事を望む妻に子供を産めというのはちょっと…」など擁護の声があり意見が分かれているようです。
子供を持つことを拒否したら慰謝料の対象に?
同じような事例は一般人でも起こりうります。一方が子供を望むにもかかわらず、拒否される。なかには、子作りを拒むケースもあるようです。
「子供を持つ」ことを拒否したことを理由とした離婚の場合、やはり拒否した側が慰謝料を支払はねばならないのでしょうか? 高島総合法律事務所の理崎智英弁護士に見解を伺いました。
理崎弁護士:「夫婦間で性行為をすることは、夫婦で愛情を確かめるという目的以外に、子どもをもうけるという意味もあります。子どもをもうけることは、夫婦の婚姻生活にとって重要な要素の一つです。
そのため、合理的な理由がないのに、子作りに応じないことは、『婚姻を継続し難い重大な事由』(民法770条1項5号)として、離婚事由となり、慰謝料の対象になるものと考えます」
合理的な理由のない「子作り拒否」は、慰謝料の対象になりうるようです。
恋人を作る行為は?
女性タレントについては、夫婦関係が破綻していたとはいうものの、既に恋人を作っていたことに批判があるようです。これは不貞行為にならないのでしょうか? 高島総合法律事務所の理崎智英弁護士に聞いてみると…
理崎弁護士:「婚姻関係継続中に、妻が夫以外の異性と性的な関係を持つことは原則として不貞行為に該当しますので、慰謝料の対象となります(民法770条1項1号)。もっとも、すでに婚姻関係が破たんしているような場合には、夫以外の異性と性的な関係をもっても不貞行為には該当しません」
結婚前に意思確認を
子供を育てることは親の生活リズムを一変させます。とくに女性は身体的な変化もあり、仕事を休む必要が出ます。それだけに、「今は作りたくない」と考える人も、多いことでしょう。
家族計画についても、十分に話し合ったうえで、結婚したほうがいいのかもしれませんね。
*取材対応弁護士: 理崎智英(高島総合法律事務所。弁護士登録以来、離婚や不倫問題を中心に取り扱っており、多数の解決実績がある)
*取材・文:櫻井哲夫(本サイトでは弁護士様の回答をわかりやすく伝えるために日々奮闘し、丁寧な記事執筆を心がけております。仕事依頼も随時受け付けています)