詐欺の被害ですが、残念ながらなかなか無くなりませんね。
弊所にご相談いただく数も群を抜いて多く、連日、様々な手口の詐欺に遭った方から連絡をいただいております。
詐欺の被害に遭った後にお金を取り戻そうとすることは非常に難しいと言わざるを得ません。
出来心で素人が騙した、というのであれば別ですが、悪知恵の働く人間が、最初から逃げ切ることを考えて作りこんだスキームとなると、そう簡単に崩すことはできません。
ですから、いかに詐欺に遭わないかという防衛力を高めることが非常に重要になるのです。
そして、詐欺被害を回避するための防衛策ですが、なんら難しいものではありません。
以下、紹介していきます。
①相手方の身元を確認する
ご相談いただくケースの中で多いのが、もう少し相手方の身元を調べておけば、詐欺被害を未然に防げたのではないかというものです。
相手方が個人の場合には、少なくとも以下の情報を裏付け資料をもって確認しましょう。
ア 氏名
イ 住所
ウ 電話番号
裏付けとなる資料は、免許証、保険証、住民基本台帳カード、パスポートなどです。コピーではなく、原本を確認し、出来れば2つ以上の情報を突き合わせましょう。
また、少なくとも記載された情報を書き写す(できれば写真を撮る)などしましょう。
相手方が法人の場合にも以下の情報くらいは取得しましょう。
ア 社名
イ 所在地
ウ 電話番号
裏付けとなる資料には、登記があります。
登記を取得すれば、会社がそもそも存在するかどうか、存在するとして本店の所在地はどこか、役員にはどのような人物がいるか、代表取締役はどこの誰かなどの情報が出てまいります。
登記はどなたでも取得することができますので、相手方が法人の場合には必ず取得しましょう。
また、手軽に調べられるのに見落としがちなのが、ホームページの存在です。
まともな事業であれば、ホームページくらいは持っているでしょう、社名で検索するようにしてください。
上記のほか、相手方が個人か法人かに関わらず、出来る限り、相手方の住所地や会社の所在地を訪問するようにしてください。
公的な資料から裏付けられる情報が全てとは限りません。
実際に連絡を取ることができる相手であるかが重要なのです。
名刺に書かれた住所に相手方の存在が確認できないときは、注意が必要です。
②検索エンジンで検索してみる
先ほど相手方が法人のときには、社名で検索しようという話に触れましたが、相手方が個人のときにも名前で検索するようにしてください。
ホームページやブログ、SNSなどが見つかりましたら、相手方の話してきた内容の裏を取れるだけ取るようにしてください。
他方、名前や社名で検索すると、詐欺被害の情報投稿サイトが出てくるときがあります。
このサイトに掲載されている=詐欺と断定はできませんが、少なくとも何らかのトラブルが起きていることはわかります。
こういった情報が出てきたときは、取引を考え直したほうが良いかもしれません。
③自分だけで判断をしない
詐欺のケースでは、誰にも相談しないで話を進めてしまい、取り返しのつかない事態に発展するケースが多くあります。
相手方の身元を調べる中で不自然な点があったら「まあ、大丈夫だろう」と軽く考えず、遅くともお金を払う前までに、友人や家族に話をしてみてください。
詐欺師や詐欺業者の言葉巧みな説明に、視野が狭くなってしまっている場合は多くあります。
客観的に第三者の目から突っ込みどころを探してもらうという作業は重要です。
友人や家族には聞きづらいということであれば、無料の法律相談や消費生活センターなどに相談するなどしてもいいでしょう。
最終的に取引を行うか否かについてはご自身の判断になりますが、出来る限り立ち止まる機会を持ち、相手の説明と自分の考えを客観的に検証することが重要です。
細かい話をすれば、他にも注意すべき点はありますが、手軽にできることとしては上記の方法がまず挙げられます。
大事なお金を渡すのですから、慎重すぎるくらい慎重になるべきです。
繰り返しになりますが、お金を渡してしまってからこれを回収するのはかなり大変です。
お金を渡す前に一度は立ち止まって、必要な情報を調べて、その裏を取り、自分がおかれた状況を客観的に見るようにしてください。
それだけで、詐欺被害を未然に防ぐ可能性はかなり上がるかと思います。
*執筆弁護士:若井 亮(若井綜合法律事務所。「迅速対応」「分かりやすい説明」「徹底した報告」をモットーとしている。不当要求への対応、詐欺被害への対応を多く経験している)
*画像はイメージです(pixta)