昨今ネット上に流れている画像の著作権侵害が後を絶ちません。自分がカメラで撮影した写真を簡単にSNSにアップすることができる時代になるにつれ、画像の無断使用も横行しています。
個人使用はもちろん、なかには企業の公式サイトなどでも、勝手に人の撮影した画像を使うことがあるようです。
企業公式HPに自分の撮影した写真が…
写真撮影が趣味のSさんは、企業が自分の撮影した画像を使っていることを発見しました。写真にプライドを持っているSさんは、即刻の掲載中止と費用の徴収を検討しています。
恐らくこちらの主張が認められるとは思うのですが、明確に「罪」になるのかどうか不明瞭な部分もあり、行動に出ることをためらっているそうです。
このように、他人の画像を勝手に使うことは、罪にならないのでしょうか?法律事務所アルシエンの日高義允弁護士に見解を伺いました!
画像無断使用は罪になるのか?
日高弁護士:「創作性があるのかという議論はあるでしょうが、画像をデッドコピーしてウェブサイトの素材と使用する形で無断転載しているのであれば、複製権や公衆送信権といった著作権を侵害していると考えます。
著作権法上は、引用等の権利制限規定に該当するのであれば、無断で利用をすることはできます。しかし、サイト上に引用元を明記する等の引用ルールを満たしていない場合、やはり著作権侵害に該当します。
故意に著作権を侵害した場合であれば、犯罪に該当し、刑罰の対象となります。実際に著作権侵害をした従業員については、10年以下の懲役若しくは1,000万円以下の罰金(又はこれらの併科)の罰則が定められています(著作権法119条)。
また、企業自体にも、3億円以下の罰則が定められています(著作権法124条1項1号)。なお、写真の内容やウェブサイトにおける利用状況次第で、肖像権侵害に該当する場合もありえると思いますが、肖像権侵害は民事上の問題であり、刑事上、犯罪には該当しません」
やはり他人の画像を無断使用することは、著作権の侵害になるのですね。
どのように主張すればいいのか?
違法になることはわかりましたが、実際にどのような手立てで主張すればいいのか。法律事務所アルシエンの日高義允弁護士に見解を伺いました。
日高弁護士:「肖像権や著作権が侵害された場合、被侵害者は、侵害者に対して、写真の利用の差止めや損害賠償等を求めて民事裁判を提起する方法があります。
また、連絡後に利用を止めないのであれば、侵害について故意があると主張できますから、著作権侵害を理由に刑事告訴をするという手立てもあり得ます。この他に、法的手続外で、検索エンジンの運営会社に対して、
様々な手立てがあるようですね!
実際にそのようなケースはあるのか?
ネット問題に詳しく、多数の解決実績を持つ日高義允弁護士。過去にこの種の相談を受けた経験や、解決実績などを聞いてみました。
日高弁護士:「自身がSNSやブログで掲載した写真の無断転載について、ご相談を受けることは時折あります。侵害していることがはっきりしている場合ですと、侵害警告書等の文書を送付すれば、一般の企業ですと無断利用を止めてもらえることが多い印象です」
使用時は許可を
他人の画像を無断で転載することは、法律違反になりえます。使う際は撮影者に一声かけ、許可を得るようにしましょう。
*取材対応弁護士:日高義允(法律事務所アルシエン IT法務と刑事事件に注力しています。IT法務では、システム開発、アプリ開発、WEBサービス等をめぐる紛争や契約書・利用規約作成等に対応しています。また、刑事事件では、若手経営者からの依頼も多く、経営周りも含めたサポートを心がけています)
*取材・文:櫻井哲夫(本サイトでは弁護士様の回答をわかりやすく伝えるために日々奮闘し、丁寧な記事執筆を心がけております。仕事依頼も随時受け付けています)