【妻の葛藤】交通事故の後遺症で豹変した夫…離婚事由として認められる?

Bさん(30代・女性)は真剣に離婚を考えています。その理由は、夫が交通事故に遭い、高次脳機能障害になってしまったことで、すっかり性格が変わってしまったため。

物覚えが悪くなってしまい仕事も辞め、現在はふさぎ込む毎日。Bさんが働いて生計を立てていますが、口から出るのは「死にたい」というネガティブな言葉や、「あと30分お前が早く起こしてくれたら事故らなかった」という愚痴ばかりなのだそうです。

離婚を考えているBさんですが、「障害を持った夫を捨てる」ような形になるため、悩んでいます。このようなケースの場合、離婚は認められるのでしょうか?

ピープルズ法律事務所の森川文人弁護士に見解を伺いました。

 

Q.交通事故で障害を持った夫と離婚したい…離婚事由として認められる?

 

A.直ちに離婚は難しい

森川弁護士:「法的な離婚原因はなく、直ちに離婚は難しいと思われます。脳機能障害の程度にもよると思いますが、いわゆる「性格が悪くなる」程度では、意思疎通ができないというわけでもありません。離婚が認められるためには、ある程度の長期の別居等、顕著な破綻を裏付けるような事実が必要かと思われます」

 

今回の場合、すぐに夫と離婚できる、というわけではないようですね。

非常に難しい事案ではあります。夫を見捨てるようで罪悪感に苛まれることもあるでしょうし、事故によって辛い思いをしている夫を支えなければという気持ちとの葛藤もあるかもしれません。

ですが、致し方ない障害だったとしても、結果として夫婦関係継続が難しく、長期別居など破綻してしまっていると認められる場合は離婚も不可能ではありません。妻として苦しい決断ではありますが、限界を感じるのなら、我慢して結婚生活を続ける必要はないでしょう。

 

*取材協力弁護士:森川文人(ピープルズ法律事務所。弁護士歴25年。いわゆる街弁として幅広く業務を経験。離婚、遺産相続をはじめ、不動産、 慰謝料・損害賠償請求、近隣トラブル、借地借家、賃金、インターネット問題、知的財産権などを扱う。)

*取材・文:櫻井哲夫(本サイトでは弁護士様の回答をわかりやすく伝えるために日々奮闘し、丁寧な記事執筆を心がけております。仕事依頼も随時受け付けています)

森川 文人 もりかわふみと

ピープルズ法律事務所

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