飲食店の「SNS拡散禁止ルール」破られ大迷惑!客に損害賠償を請求できるのか?

高級飲食店では、大衆化を避けるなどの目的から「一見さんお断り」「完全紹介制」「SNS拡散禁止」などとする店があります。大抵の場合それでも繁盛していることが多く、人気となっているようです。

 

SNS拡散禁止ルールを無視した客

Bさんもそんな「一見さんお断り店」を経営しています。自身が「うるさい店」が嫌いとのことで、「お客様に静かな環境でゆっくりと味を楽しんでもらいたい」とのコンセプトで、完全紹介制のうえ、SNS拡散禁止としました。

ところが1人の客が、「自分だけが知っている店」と得意満面にSNSに投稿。店に一見客が訪れるようになり、断りの対応をする羽目になってしまいました。さらにそれを受けた人間がネットにネガティブな投稿をするようになり、常連客に迷惑がかかっている状況だそうです。

 

損害賠償請求を検討

Bさんは投稿者に怒りを感じており、営業妨害で損害賠償請求を検討しています。しかしネット上では「そもそもSNS拡散禁止とすることがおかしい」「そんな訴えが認められるわけがない」と書かれているそうで、対応に苦慮していると言います。

仮にBさんが投稿者を特定できた場合、営業妨害などで損害賠償を請求できるのでしょうか? 法律事務所アルシエンの清水陽平弁護士にご意見を伺いました。

 

損害賠償は請求できるのか?

清水弁護士:「SNSでの拡散禁止というルールがある中で無断で投稿することは、問題といえます。もっとも、具体的な損害が不明であることから、損害賠償請求などは難しいといえます。店を利用する上でのルールないし契約を守らなかったということで、今後の利用拒否などを受けるといったことになるかと思います」

SNS拡散禁止ルールを破り無断で投稿し存在を広めることはやはり「問題あり」ですが、損害賠償請求などは難しいようです。

 

SNS拡散禁止ルールには問題は?

次に「SNS拡散禁止」ルールを店が設定することに問題はあるのでしょうか? 法律事務所アルシエンの清水陽平弁護士にご意見を伺ってみると…

清水弁護士:「店側が「SNS拡散禁止」と取り決めを行うことは、問題がありません。どうしても投稿したいのであれば、店を利用しない自由があり、禁止を理解した上で利用する以上、それに同意したということになるためです」

「SNS拡散禁止」には、れっきとした理由があります。店側がルールを設定し、それに同意して利用した場合は、守るのが「筋」というものではないでしょうか。

 

*取材協力弁護士:弁護士 清水陽平(法律事務所アルシエン。インターネット上でされる誹謗中傷への対策、炎上対策のほか、名誉・プライバシー関連訴訟などに対応。)

*取材・文:櫻井哲夫(本サイトでは弁護士様の回答をわかりやすく伝えるために日々奮闘し、丁寧な記事執筆を心がけております。仕事依頼も随時受け付けています)

清水 陽平 しみずようへい

法律事務所アルシエン

東京都千代田区霞ヶ関3-6-15 霞ヶ関MHタワーズ2F

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