新入社員の方は入社してから1週間が経ちましたね。
慣れない環境に戸惑うことも多くあると思いますし、中には早速社会の厳しさを知って、「翌週から出社したくない」なんて思っている方もいるのかもしれません。
そこで、今回はどれくらい無断で欠勤や遅刻をしたらクビになるのでしょうか、考えてみたいと思います。
■まず、会社と会社員の関係についておさらい
会社員になるということは、その会社と労働契約を締結すると言うことです。契約ですから、権利を得ると同時に義務も負担します。つまり、権利としては、「給料をもらえる」ということですし、義務としては、「その会社の指示に従って働く」ということになります。
出勤日に出勤して働くことは会社員の義務です。その義務を果たせないと給料をもらえず、最悪の場合は労働契約が解除(解雇、クビ)されるということになります。しかし、労働契約は特殊な契約で、会社員(労働者)を保護しています。会社(使用者)の解雇権の行使は「解雇権濫用の法理」というものによって制約されています。
具体的には、会社ごとの就業規則に定められますが、就業規則が上記の労基法に違反している場合は、労基法が適用されます。つまり、会社の勝手なルールで社員をクビにしようとしても、「解雇権濫用の法理」によって守られるケースがあるということになります。
■アナウンサーが2度の遅刻でクビになった例
最高裁の判例に、アナウンサーが二度も寝過ごしてニュースの放送に遅刻したために職務懈怠として解雇された事案について、解雇権濫用の法理を適用し、また濫用の判断基準を明らかにしたものがあります(高知放送事件=最高裁昭和52年1月31日判決・労働判例268号)。
この判例では、アナウンサーの行為について解雇事由に該当するとしながらも、「解雇事由がある場合においても、使用者は常に解雇しうるものではなく、当該具体的な事情のもとにおいて、解雇に処することが著しく不合理であり、社会通念上相当なものとして是認することができないときは、当該解雇の意思表示は解雇権の濫用として無効になる」としています。
■実際は何日休んだらクビになる?
傾向としては、2週間以上無断欠勤すると解雇が有効になるような場合が多いようです。しかし、それ以下でも、悪質な事案だと解雇が有効と判断されたりします。
また、欠勤すると連絡しても、欠勤理由が虚偽の場合には解雇が有効と判断されます。
要は、社会人としての常識に従った行動を取っていれば仮に欠勤しても解雇されないということです。すこしサボるくらいなら解雇されることはありませんが、あまりにも非常識な欠勤をすると解雇されても文句を言えないということです。
ちなみに、解雇されないとしても、サボっていると出世が出来ないのは言わなくても分かりますね。
*この記事は2014年12月に掲載されたものを再編集しています。
*著者:弁護士 星正秀(星法律事務所。離婚、相続などの家事事件や不動産、貸金などの一般的な民事事件を中心に、刑事事件や会社の顧問などもこなす。)
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