「痴漢冤罪」は男性なら誰もが恐れることかと思います。
もしも捕まってしまったら会社をクビになったり、前科を持ってしまったり……とネガティブな印象を持っている方が大半だとは思いますが、具体的に逮捕されてからどのような流れになるのかまでは知らない方が多いのではないでしょうか?
そこで今回は、逮捕されてからの流れや、私生活への影響について解説していきたいと思います。
■逮捕後の流れ
現在の刑事事件の実務では、残念ながらたとえ冤罪であっても、被害者の供述により、誤認逮捕される事態は珍しくありません。
逮捕されると、まずは警察署の留置施設に入れられます。
その後、48時間(逮捕の翌日か翌々日)以内には記録と身柄が検察官に送致されます。
これが報道などでも「送検」というもので、警察署から検察庁に身柄が護送され、検察官から弁解の録取をされた後、勾留の必要がある場合には、勾留請求されることになります。
勾留請求は送致から24時間以内なので、送致の当日(夕方)には勾留請求がかけられます。
このとき、勾留の必要がないと検察官が判断した事件は、送検の日の夕方には処分保留で釈放されます。ただ、これは送検の日の釈放は、通常はあくまで処分保留での釈放にすぎず、不起訴処分が確定するわけではありません。
勾留請求された事件で裁判官が勾留決定をすると、まず10日、場合によってはもう10日間延長して合計20日間勾留されることが多いです。逮捕から数えると最大23日間は身柄拘束の可能性があります。
この勾留されている期間に冤罪であると検察官が判断すれば、嫌疑不十分で勾留期間万満了までに釈放されます。
しかし、検察官が起訴するだけの材料がある判断した場合は、起訴されます。
起訴後は、保釈申請が可能ですが、保釈認容か無罪判決までは、また引き続き勾留が続いてしまいます。
■私生活への甚大な影響
上記のように、冤罪で逮捕されると、釈放のタイミングはいくつかありますが、基本的には長期の身柄拘束を覚悟しなければならず、仕事など私生活への影響は計り知れません。
逮捕された場合で一番早い釈放のタイミングは、送検の日の夕方ですが、勾留決定となった場合は、最低13日間程度は身柄拘束を覚悟しなければなりません。
そのため、逮捕後、送検までの間に弁護士を呼び、勾留を防ぐ手立てを依頼することが極めて重要です。
また冤罪で釈放されたとしても周囲から疑わしい目で見られるおそれは残り、失った信用を取り戻すのも大変です。
冤罪による私生活上の悪影響は甚大ですから、仮に故意の冤罪のでっち上げであれば、被害者と称した者に対し、不法行為の損害賠償請求をすることも可能です。
痴漢冤罪事件では、私生活上の影響を最小に抑えるため、早期の釈放を目指すことが肝要です。
逮捕されると、留置施設の警察官に弁護士との接見を依頼することができます。
とにかく早いタイミングで弁護士を呼ぶことを覚えておきましょう。
*著者:弁護士 星野宏明(星野法律事務所。不貞による慰謝料請求、外国人の離婚事件、国際案件、中国法務、中小企業の法律相談、ペット訴訟等が専門。)
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