今月11日、郵便物222通を配達しないで海に投げ捨てた容疑で広島県警は30歳のアルバイトの男性を逮捕するというニュースがありました。
男性は勤務時間内に配達が出来なかったと供述しているようですが、郵便物を海に投げ捨てるといった行為はどのような罪に問われるのでしょうか。
また、本件では、222通の郵便物を1つの袋にまとめていたため、日本郵便は無事に全て回収したようですが、回収できなかった場合はどうなるのかといった点について、解説していきたいと思います。
■海に郵便物を捨てたことによる違法性は?
郵便法によれば、郵便配達員が、わざと配達しなかったり、遅延させた場合は、1年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処せられます(同法79条)。
海に投げ捨てた郵便物が、壊れたり、なくなった時は、さらに刑法261条の器物損壊罪となり、3年以下の懲役に処せられる可能性があります。
本件では無事に回収され、再配達されているようなので、郵便法違反の罪だけになると思います。
■郵便物を回収できなかった場合は損害額をどう算出するのか
まず、下記の郵便物は、損害賠償の対象となりません。簡単に言えば、普通の郵便物は、郵便事故があって損害が発生しても泣き寝入りするしかないと言うことです。
1)郵便物(手紙)で書留または代金引換としないもの
2)郵便物(はがき)で書留としないもの
3)レターパック
4)ゆうメールで書留または代金引換としないもの
5)ゆうパケット
大切なものを郵送するときは必ず書留郵便にしましょう。
書留郵便にした場合、差し出す時に申し出た金額が最高額となります。例えば、10万円を現金書留にした場合、それが紛失すれば10万円を限度に賠償されます。金額を申し出ないと、10万円が限度額となります。
このように郵便事業者の責任が制限されているのは、低廉な価格で郵便事業が出来るようにするための政策です。高額な賠償責任を負わせると、今のような低価格で全国一律に配達できる郵便事業は成り立ちません。
*著者:弁護士 星正秀(星法律事務所。離婚、相続などの家事事件や不動産、貸金などの一般的な民事事件を中心に、刑事事件や会社の顧問などもこなす。)
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*Nature / PIXTA(ピクスタ)
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