12月は、探偵事務所や興信所で「浮気調査」が増える傾向にあるそうです。「今夜は忘年会で遅くなる」といったウソが成立しやすく、浮気相手との時間が作りやすい時期というのが理由だそうです。
浮気が原因で離婚する方が多くいらっしゃるのですが、よく揉めることとして、養育費や財産分与といった金銭に関連することのほかに、「子どもの親権」が挙げられます。
子どもの親権について揉めている相談者からは、離婚の原因(浮気、暴力等)を作った相手には子どもの親権はいきませんよねとの質問を受けることがありますが、今回は具体的な例として、“妻が浮気をしていて、その浮気が原因で離婚することになった場合”、妻は子どもの親権者になることができるのでしょうか、解説していきたいと思います。
Q.妻の浮気が原因で離婚した場合、妻は子どもの親権者にはなれる?
A.Yes
そもそも、親権とは、未成年の子を養育監護したり、その財産を管理したり、あるいは、その子を代理して法律行為をしたりすることを言うのですが、裁判所は、夫婦のどちらが親権者となるのが「子の利益」のためになるのかという観点から判断します。
これまで裁判例に現れた事情の中でも、父母の事情としては、監護に対する意欲(子に対する愛情の度合い)、監護に対する現在及び将来の能力(親の年齢、心身の健康状態、時間的余裕、資産・収入などの経済力、実家の支援)、生活環境(住宅事情、居住地域、学校関係)などがあります。
また、子の事情としては、子の年齢、性別、子の意思、子の心身の発育状況、兄弟姉妹の関係などがあります(冨永忠祐・「離婚事件処理マニュアル」より)。
以上のとおり、裁判所としては、あくまでも「子の利益」にかなうのはどちらであるかを、父母の事情、子の事情を総合的に考慮して親権者を決めます。
そのため、夫婦の問題と子どもの親権者としてどちらがふさわしいかという問題は全く別の問題です。したがって、婚姻中に妻が不貞行為がしたという理由だけで妻が親権者として相応しくないという判断はされません。
*著者:弁護士 理崎智英(高島総合法律事務所。離婚、男女問題、遺産相続、借金問題(破産、民事再生等)を多数取り扱っている。)
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