高知東生被告の初公判で話題にあがった「情状証人」。制度の仕組みを弁護士が解説!

覚せい剤取締法違反などの罪に問われていた元俳優、高知東生被告の初公判が2016年8月31日に東京地裁で開かれました。その報道とともに、元妻で女優の高島礼子さんが情状証人として出廷しないことについてもニュースでは取り上げられていました。

この「情状証人」という言葉に耳慣れないと感じた方は多いと思います。そこで今回は、この情状証人について説明するとともに、この証人が裁判にどのような影響を与える存在なのかを解説したいと思います。

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画像:https://pixta.jp/

 

■判決決定の材料となる、被告人の今後に関する証言をするのが「情状証人」

情状証人とは、刑事裁判における証人のうち、犯罪行為そのものではなく、主に被告人の今後の監督や更生可能性に関する事項について証言する証人のことを指します。

刑事裁判において、法定刑の範囲内で判決が最終的にどのような刑罰(懲役何年か)を決めるにあたっては、犯行態様、動機、被害結果、共犯関係、年齢・性格、被害弁償の有無、反省の有無、被害感情、更生可能性、再犯可能性など様々な事情を総合的に考慮して決められます。

このうち、犯行態様や犯行結果に関する情状を「犯情」、それ以外の被害弁償の有無、反省の有無、更生可能性(家族等の支援、就職先の確保等)などを「一般情状」といいます。

よって情状証人は、判決の言い渡しにおいて考慮する「一般情状」を立証するための証拠調べに協力する証人のこととなります。

 

■情状証人が出廷するかは必須項目ではない

情状証人は、通常、被告人に有利な事情を立証するために実施されますので、親族が出頭して証人として証言するケースが多いです。

この他、被告人の人間関係によっては、交際相手や職場上司が情状証人として出頭することもありますが、いずれにしても、情状証人は必須ではなく、弁護側が必ず依頼しなければならないものではありません。

情状証人は、要するに裁判で今後被告人のそばにいてできるだけの監督をします、ということを誓約して証言することで、被告人の今後の監督状況が良好で再犯の可能性が高くないことを裁判官に理解してもらい、刑を軽くする要素として考慮してもらうことが目的です。

したがって、自ずと被告人と関係性が薄い単なる知人や、親族関係はあってもこれまで交流がほとんどなかった人は、いくらこれから監督しますといっても、裁判官には響きませんので、情状証人としてはあまり意味がないことになります。

実際の裁判では、適切な身近な情状証人がいない場合には、情状証人を申請しないケースはよくあります。この場合、被害弁償を実施するなど、情状証人以外の弁護活動に力を入れるしかありません。

 

■情状証人の有無で大きく結論は変わらない

情状証人は必須ではない上に、実は、判決において一番重視される事情は、犯情に関する事実ですので、情状証人の有無が判決内容に大きく影響するケースはさほど多くありません。

というのも、被告人の判決を決めるにあたっては、犯行態様や被害結果の重大性が一番重要なのは当然であって、いくら情状証人が「今後しっかり監督します」といったところで、重大な犯罪行為に及んでいれば、刑が大きく影響されることはないからです。

例えば、犯罪内容がさほど重要でなく、今後の生活環境に不安があって、監督者さえしっかり確保できれば再犯に及ぶ可能性が低いと考えられ、執行猶予がつくかどうか微妙な事案以外は、情状証人の有無が判決内容に決定的な影響を与えるケースは多くありません。

 

*著者:弁護士 星野宏明(星野法律事務所。顧問法務、不動産、太陽光自然エネルギー、中 国法務、農業、不貞による慰謝料、外国人の離婚事件等が専門。)

*ワンセブン / PIXTA(ピクスタ)

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星野宏明
星野 宏明 ほしのひろあき

星野・長塚・木川法律事務所

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