外出先でトイレが長蛇の列になっていて、なかなか入れない。こんなこと、よくありますよね。特に公共施設や商業施設の女性トイレは、休日となるとどこも混みあっている状況です。
そんなとき、空いている男性用トイレに入れないだろうか、と思ったことがある人ももしかするといるかもしれません。実際、吹田サービスエリアでは、中高年女性が「今だけ男」などと言って男性用トイレを使うことが頻発しているらしく、それらの行為をしないよう注意を呼びかける貼り紙がされているとのことです。
では、この男性用トイレに女性が入る行為(逆も含めて)、法的に問題はあるのでしょうか。考えてみたいと思います。
■男性用トイレに入ること自体は法的に問題ない
結論から言いますと、男性は男性用トイレ、女性は女性用トイレに入るよう定めている法律はありません。区別は施設側が自発的に行っているもので、どちらを利用するかは、個々の利用者の自主的な判断に求められています。
ですので、混んでいる際に、空いている方の性別のトイレを利用すること自体は、法的に問題ないといえます。
■トイレに入る目的によっては処罰対象になりうる場合もある
しかし、正当な理由がないにもかかわらず、公衆浴場や更衣室、トイレをひそかにのぞき見する行為は、軽犯罪法によって処罰の対象となっています。
ですので、 用を足すという名目で、男性の体を見るために男性用トイレに入って、それがばれてしまったようなケースでは、処罰されてしまうということになります。
■正当な理由があっても注意は必要
男性が女性用のトイレに入って来れば、それだけで、おそらく痴漢やのぞき見などの疑いをかけられることとなるでしょうから、男性が用を足すために女性用のトイレに入るということは、一般的には想定しにくいと考えます。
逆に女性が男性用のトイレをやむを得ず利用する場合でも、すぐに個室に入り、手を洗って退出すべきでしょう。うろうろしたり不審な動きがあれば、やはりのぞき見の嫌疑をかけられることになりかねません。
そもそも、道義的に上記のような行為は推奨できるものではありませんが。
*著者:弁護士 寺林智栄(ともえ法律事務所。法テラス、琥珀法律事務所を経て、2014年10月22日、ともえ法律事務所を開業。安心できる日常生活を守るお手伝いをすべく、頑張ります。)