丸刈り、食事の強制、過酷な練習・・・「ブラック部活」に法的問題はないのか?

体調が悪いにもかかわらず参加させる、怪我をしていても参加を命じられる、限界を超えても食事をさせられる……最近、中学高校の体育会系の部活動で、このような「ブラック部活」が問題となっています。

体罰一歩手前のこのような過酷な部活動の指導、法的に問題はないのか、今回はこの点について解説していきます。

吉野秀宏 / PIXTA(ピクスタ)

スポンサーリンク

■強要罪、業務上過失致傷罪が成立する可能性

部活動は、課外活動とはいえ、学校内の活動であり、顧問や監督の指示に一定程度服する義務はあるといえます。

しかし、だからと言って体調不良や怪我などの場合に参加を強要する権限が、顧問等にあるわけではありませんし、参加の指示に学生が従う義務があるわけでもありません。

例えば、このようなケースで、「食事を全部食べるまで返さない」であるとか、「部活に参加しなければ、名前を校内に張り出す」など、指示に従わない場合に制裁を加えるようなことを指導者側が言った場合には、強要罪に問われる可能性があります。強要罪が成立すると、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金刑に処されることとなります。

また、上記のようなケースで、例えばさらに怪我が悪化したケースや、学生が死亡したというケースでは、業務上過失傷害罪が成立しうる可能性もあります。業務上過失傷害罪については、例えば、学校側がこのような部活動が常態化していることを知りながら放置していたような場合には、顧問等の指導者だけでなく、学校長にも成立する可能性がありえます。

 

■損害賠償責任が課される可能性も高い

仮に刑事責任が指導者や学校側に成立しない場合でも、このようなケースで学生の病気やけががさらに重くなったり、死亡したり、健康を損なうことになった場合には、指導との間に因果関係が認められれば、指導者に不法行為というものが成立し、学生本人あるいはその親権者(学生が死亡したケース)は、指導者に対して損害賠償を追求し、治療費や、慰謝料等を求めることができます。

学校側も、指導者の使用者として同様の責任を負うこととなります。

筆者自身も、高校時代は陸上部で活動しておりましたが、けがや体調不良がある場合、むしろ学生側が活動したがるのを顧問の教師が止めておりました。筆者自身はさておき、同じ部の仲間には、全国大会に出場した者もおり、それなりに強い部でした。

空虚な根性論に基づく締め付けは、決して強さを生むものではないでしょう。青少年の身も心もボロボロにするブラック部活は、撲滅されるべきと考えます。

 

*著者:弁護士 寺林智栄(ともえ法律事務所。法テラス、琥珀法律事務所を経て、2014年10月22日、ともえ法律事務所を開業。安心できる日常生活を守るお手伝いをすべく、頑張ります。)

スポンサードリンク
   
寺林 智栄 てらばやしともえ

ともえ法律事務所

東京都中央区日本橋箱崎町32-3 秀和日本橋箱崎レジデンス709

コメント

コメント