数年前に、「ホームレス中学生」という本がベストセラーになりました。
訳あって家に帰れず公園で一夜を過ごした、一時的に住居がなく公園で寝泊まりしていた、そんな経験をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。
実は、公園で寝泊まりするという行為は、状況によっては違法となります。一般的に「公園」と呼ばれて連想される施設(植木や遊具がある憩いのスペース)は、都市公園法という法律によって規律が定められております。
●公園の使用は「都市計画法」に定められている
都市計画法第6条1項は、「都市公園に公園施設以外の工作物その他の物件又は施設を設けて都市公園を占用しようとするときは、公園管理者の許可を受けなければならない。」と定められております。
この規定によると、公園内にテントや段ボール等で居住スペースを確保して寝泊まり(占用)する場合は、許可を取る必要があるということになります。つまり、許可なく寝泊まりすると、違法ということになります。その場合、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金に処せられる可能性があります(同法第38条2項)。
それでは、工作物を設けずに野宿すれば違法にならないのか、ということにもなりそうですが、実はそうとも言えません。地方公共団体によっては、都市公園の用途外の利用等に関して罰則を設けている例もあります。
●公園には公園のルールがある
そもそも「公園」は国や地方公共団体が管理する施設であり、利用目的に応じて利用方法が定められています。「公園」という文字から、「公の物なので他人に迷惑をかけなければ何をしてもいいのでは?」などと安易に思われるかもしれませんが、そんなことはありません。
一般的に、公園は国民や市民の憩いの場として作られており、誰もが野宿をしてよい場所として設置されているわけではありません。ですので、「公園で野宿しても法的に問題がないか?」と問われれば、「問題がある。」とお答えするよりほかないと思われます。
もちろん、野宿OKとして設置されている公園があるのであれば、話は違ってきますが、そういった公園を個人的には知りません。
●公園で許可無く野宿することは違法となってしまう
公園は、官(お上)が管理しているので誤解を招きやすいのかもしれませんが、例えば個人が管理する土地に勝手に野宿しても良いか、という問題に対して「NO」という回答は受け入れやすいかと思います。
それと同じように考えていただければ良いと思います。いかに「公園」といえど、管理者の意思に反する利用は制限されるべきだからです。
必要に迫られ、仕方なく公園で夜露をしのいでいる方にとっては納得いかない話かと思われますが、法的にバッサリ結論を出すとすれば、公園で許可なく野宿することは違法であるということになります。
なお、ある都市の条例によると、公園での禁止行為として、(1)植物の採取、(2)鳥獣魚類の捕獲、殺傷、(3)張り紙、広告、(4)車の乗り入れ、などがあります。
僕も、公園等公共の施設を利用する際は、利用者の皆さんが気持ちよく使えるように心がけたいと思います。
*著者:弁護士 河野晃 (水田法律相談所。兵庫県姫路市にて活動しております。弁護士生活5年目を迎えた若手(のつもり)弁護士です。弁護士というと敷居が高いと思われがちな職種ですが、お気軽にご相談していただけるような存在になりたいと思っています)
*yokotaro / PIXTA(ピクスタ)