民事上の時効制度「消滅時効」と「取得時効」とは?

時効と聞くと、「時効寸前で犯人を逮捕」などの刑事上の時効をイメージする方が多いと思いますが、日本の法律でいう時効には、民事と刑事の2種類あり、時効制度が設けられた思想的根拠はそれぞれ異なります。

また、民事の時効にも大きく分けて取得時効と消滅時効の2種類あります。今回は民事の時効を知る上で外せない「消滅時効」と「取得時効」について解説していきます。

裁判

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■民事の消滅時効

一番わかりやすくイメージしやすいのが消滅時効と呼ばれるものです。

これは、文字どおり権利行使がなく長期間経過することで、権利が消滅して行使できなくなる制度です。

例えば、賃金債権は2年、飲み屋のツケは1年、病院の治療費は3年、貸金債権(借金)などの一般債権は10年といったような時効期間が定められており、その間、債権者が請求(厳密には裁判上の請求)をせず、債務者の弁済もない場合には、債務者が消滅時効を援用(利用)する意思表示を示すと、債権者はもはや権利行使できなくなります。

民事の消滅時効の存在理由は、(1)権利の上に眠る者は保護に値しないというローマ法由来の法諺、(2)長期間永続した事実関係(法律関係の安定)の尊重、(3)立証の困難の救済、の3つです。

なお、近く予定されている民法改正により、種類ごとに定められていた短期消滅時効が5年に統一される予定です。

 

■民事の取得時効

民事の取得時効は、消滅時効の逆バージョンで、一定期間の経過により、権利を取得できてしまう制度です。

例えば、他人の物(不動産を含む)を、平穏公然に所有の意思でもって占有すると、占有開始時に自己の所有物であると過失なく信じていた場合には10年で、そうでなくても20年の経過により、時効取得できます。

つまり、他人の土地や建物であっても、長期間所有の意思でもって占有することにより、時効取得が成立して完全な所有権を得ることが可能となります。

そんな簡単にいかないことは確かですが、地方など境界が不明確な地域で、長年自分の土地だと思って占有使用してきた区域が実は他人の土地だったと判明してトラブルになるケースは珍しくなく、実際の裁判でも土地の取得時効が主張されるケースは散見されます。

 

時効制度については、各国によって様々な制度設計となっており、社会と時代の変化に対応して、改正されるべきものです。

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星野宏明
星野 宏明 ほしのひろあき

星野・長塚・木川法律事務所

東京都港区西新橋1‐21‐8 弁護士ビル303

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