明治大学の教授が教え子に司法試験の問題を漏洩し、さらには、模範解答まで示していたとして、国家公務員の守秘義務違反として家宅捜索を受けている事件が報道されました。
これは、他の試験委員がある受験生の憲法の解答が満点近いのでおかしいと感じ、調査した結果明らかになったそうです。
いまでこそ、最難関の国家試験とはあまり言われなくなりましたが、かつては、現代の科挙と言われるほど合格率の低い試験でした。その当時には、私が知っている限りですが、このような疑惑があると言われたことはありません。
ロースクール制度になり、合格率が上がりだしてから、似たような疑惑が生じたことがあります。試験委員が自分のロースクールの講義で試験問題の論点の講義をしたことなどです。
●断じて許されない事件
司法試験に受かると、裁判官、検察官、弁護士になることが出来ます。法曹と言われる職業です。
法曹は、国民の権利義務に直接関与する職業であり、人の財産を奪ったり、あるいは、生命を奪ったり(死刑)もする職業です。従って、高度の倫理を要求される職業です。
その職業に携わるための第一歩の試験が司法試験です。そのような試験でこのような不正が行われることは、断じて許されません。
教授は刑事事件の被疑者となりましたが、受験生は5年間受験出来ないという処分を受けました。このような事件ですから、当然の処分だと思います。
今後、このような不祥事を起こさないためには、試験委員がロースクールの教授を兼ねることを禁止するしかないと思います。いくら、誓約書を書いたとしても、不祥事が起こりうる人事をしていたのでは、国民は信用できないと思います。
*著者:弁護士 星正秀(星法律事務所。離婚、相続などの家事事件や不動産、貸金などの一般的な民事事件を中心に、刑事事件や会社の顧問などもこなす。)
*Andrey_Popov