秋篠宮家の次女の佳子妃殿下に危害を加えると予告する脅迫文が佳子妃殿下の通う大学に送られ、会社員が逮捕される出来事がありました。
この会社員は恨みがあった同僚の名刺を入れ、同僚を陥れる目的でがあったとのことですが、他人になりすまして脅迫文を送る行為は、どのような犯罪となるのでしょうか。
■他人になりすまして脅迫文を送ると文書偽造の罪に該当する
脅迫文は私文書です。その私文書を他人(同僚)になりすまして作成する行為は、私文書偽造罪(刑法159条1項、3月以上5年以下の懲役)になります。
また、その偽造文書を大学に送付して他人が見ることが出来る状態にしていますので、さらに、偽造私文書行使罪(刑法161条、3月以上5年以下の懲役)にもなります。
他人名義とは言え、第三者を脅迫していますので、脅迫罪(刑法222条、2年以下の懲役あるいは30万円以下の罰金)にもなります。
注意してほしいのは、脅迫罪よりも文書偽造罪の方が重い刑が科せられることです。つまり、脅迫よりも文書偽造の方が悪質だといういことです。
■脅迫相手が皇室であるが他の罪に該当することはない
危害を加える相手が一般人ではなく皇室に向けられていますが、それによって他の罪に該当するようなことがあるのでしょうか。
戦前であれば、皇室に対する罪は、一般人に対する罪よりも重く処罰される法律がありましたが、戦後、法の下の平等に反するということでそのような法律はなくなりました。今は、一般人に対するのと同じ法律で処罰されます。
*著者:弁護士 星正秀(星法律事務所。離婚、相続などの家事事件や不動産、貸金などの一般的な民事事件を中心に、刑事事件や会社の顧問などもこなす。)