■分刻みで決められた日課
刑務所は、犯罪を犯して懲役刑を受けている人を収容するところですので、当然、好き勝手自由に行動することはできず、刑務所側で定められた分刻みのスケジュールに沿って、起床から就寝まで1日を過ごさなければなりません。
■かなり規則正しい生活
弁護士は、司法試験に合格した後、司法修習を受けている間に、刑務所の内部見学、説明を受ける機会があります。弁護士になった後も、少年鑑別所や未決勾留されている人(裁判中の人)を収容する拘置所には頻繁に行きます。
外部の人から見て、一番大変そうだと感じるのは、早寝早起きの徹底です。
平日の起床は、どの刑務所も基本的に6時台、就寝消灯は、遅くとも21時です。寝坊することは絶対に許されませんし、就寝消灯後は会話が禁止されます。
毎朝6時台に起こされて、21時には強制的に寝るという生活は、理想的、健康的ですが、朝が苦手な人にとっては、非常に辛い日課です。
もちろん、生活習慣を強制的に健全化することで、再犯を防ぐという意味もあります。
■刑務作業
起床して、食事をとったら、途中の小休憩を挟みながら、昼食まで刑務作業となります。
懲役刑ですから、刑務作業は拒否できません。刑務作業では、数人の班に分けられ、素行や服役態度に応じて、作業内容が指示されます。
刑務作業で多いのは、封筒などのように単純作業でできる雑貨製造です。刑務作業は、懲役刑の執行ですから、給与はもらえませんが、釈放時に、報奨金として、若干の金銭が交付されることがあります。
珍しいものだと、墓石をつくる刑務作業を目にしたことがあります。刑務作業で製造された商品は、刑務所の矯正展で一般向けにも販売されています。
■社会学習・資格取得
刑務所では、刑務作業の他、社会復帰後に職が見つからずに困窮して再犯に及ぶ事態をできるだけ防止するため、社会学習から美容師、電気技師、溶接工といった職人資格のための講座受講、資格取得のプログラム履修も可能です。
■休日はある
刑務所にも休日はあり、刑務作業が休みとなります。
ただし、平日よりは若干遅いですが、起床時間に起こされる他、好き勝手にテレビを見たりすることはできません。刑務所の娯楽は、運動や、外部との手紙のやり取り、読書などに限られています。
運動会などのイベントが開催されることもあります。
■風呂は週3回以下
刑務所生活で意外と大変なのは、お風呂かもしれません。
入浴は、銭湯よりも広い大浴場で看守監視の下行われますが、毎日入浴できるわけではなく、夏場でも週3回程度しか入れません。
一般の方が刑務所の中を知る機会は多くありませんが、実は、刑務所では、近隣住民向けの見学や意見交換会を行っています。
管轄の法務省も、近年は刑務所を隠すのではなく、市民の理解を得るためにできるだけ公開する方針をとっていますので、子供の夏休み社会科見学の一環として、この夏は裁判傍聴や刑務所見学を検討してみてはいかがでしょうか。
*著者:弁護士 星野宏明(星野法律事務所。顧問法務、不動産、太陽光自然エネルギー、中 国法務、農業、不貞による慰謝料、外国人の離婚事件等が専門。)
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