最近、アルコールが1%の飲料が人気になってきており、あまりお酒を飲まない人でも気軽に楽しめることが人気の理由だそうです。
そんな低アルコール飲料が流行る中、警察は酔っていないからと言って飲酒運転はしないようにと呼びかけるなど、警戒を強めているようです。
たしかにアルコール1%の飲料を飲むだけでは酔っぱらうというほどにまではならない可能性がありますが、アルコール飲料を飲んだ上で運転した場合、法的にはどのように扱われるのでしょうか。
■道交法違反となる可能性がある
結論からいうと、もちろんアルコール1%の飲料であっても酒酔い運転を禁止した道交法に違反する可能性があり、注意が必要です。
酒酔い運転については、法律の規定の仕方がわかりにくい(条文が読みにくい)こともあって、知っているようでよくわからない、という方も多いかもしれません。
まず、基本となる条文をご紹介します。
■道交法に書かれている内容
道交法第65条
「何人も、酒気を帯びて車両等を運転してはならない。」
ここでは、特に酒気帯びの基準は具体的に規定されていません。
次に、道交法第117条の2では、酒気帯び運転を禁止した道交法65条違反の罰則を定めています。
すなわち、「第65条(酒気帯び運転等の禁止)の規定に違反して車両等を運転した者で、その運転をした場合において酒に酔つた状態(アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態をいう。)にあつた者は、5年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。」
また、道交法117条の2の2では「第65条(酒気帯び運転等の禁止)の規定に違反して車両等を運転した者で、・・・身体に政令で定める程度以上にアルコールを保有する状態にあつた者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。」と定めています。
以上の道交法65条、117条の2、117条の2の2の規定を合わせて読むと、
酒酔い運転:アルコールの影響により正常な運転ができないおそれのある状態
酒気帯び運転:呼気1リットル中のアルコール濃度0.15mg(政令で定める基準)以上の状態
となります。
■道交法違反となる理由
道交法の酒酔い運転の要件の規定の仕方からわかるとおり、「どれくらいの量のお酒を飲んだか」は基準ではなく、検出されたアルコール濃度の程度や正常に運転できる状態かどうかが基準とされています。
したがって、たとえアルコール1%の飲料であっても、体調等により正常な運転ができないおそれがある状態に陥った場合、酒酔い運転と認定される可能性があります。
また、そこまで酔っていなくとも呼気1リットル中のアルコール濃度0.15mg以上が検出されれば、酒気帯び運転と認定される可能性があります。
飲酒運転による悲惨な事故が相次いだ影響で、現在は、飲酒運転に対する厳罰化が進んでいます。アルコール度数が低いからといって、決して油断せず、飲酒運転は絶対に控えましょう。
*著者:弁護士 星野宏明(星野法律事務所。顧問法務、不動産、太陽光自然エネルギー、中 国法務、農業、不貞による慰謝料、外国人の離婚事件等が専門。)
*MM4 / PIXTA(ピクスタ)