最近、Twitterでは「#実際に言われたクレーム晒す」というハッシュタグのツイートがちょっとしたブームとなり、色々なサイトで紹介されるなど話題となっています。
具体的な内容は後で紹介しますが、なかなか理不尽な内容があげられており、自分が担当者だったらかなりイライラしそうなものもあります。
はたして、適法なクレームと違法なクレームとの境目はどのあたりなのか、また、これらのクレームに違法性はないのかについて解説していきたいと思います(こんなクレームをまともに取り合わなければいけないのか、という思いは置いておいて……)。
●相手側の意思に反することを行わせるクレームは違法になる可能性が高い
一般論として、店員やお店の意思に反することを要求するクレームは違法となる可能性が高く、なんらかの刑法上の罪に当たることが多いでしょう。
たとえば、最近でもスーパーの店員をむりやり土下座させた男が逮捕されていますが、男の行為は、店員の自由や名誉を侵害してること、いくら店員に非があっても謝罪の際に土下座する必要まではないことから、強要罪(2年以下の懲役または30万円以下の罰金)に当たります。
また、店員やお店の意思に反することを要求した場合、店員に不必要な業務を強いていることになりますから業務妨害罪(3年以下の懲役または50万円以下の罰金)も成立し得ますし、さらに度が過ぎて「ぶっ殺す」などと言ったら脅迫罪(2年以下の懲役または30万円以下の罰金)、金銭を要求したら恐喝罪(10年以下の懲役)も成立するでしょう。
●具体的なクレーム内容で検証すると……
サイト上にまとめられていたツイートの中から3つのクレームを引用して検証してみます。
(1)
コンビニにお客が入店
俺「いらっしゃいませ」
客「てめえ何俺より先に喋ってんだ」
これは、理不尽なクレームではありますが、この後店員に対して過度な要求をするのでなければ違法性はありません。
(2)
私「いらっしゃいませー」
客「俺クレーマーだからちゃんと接客してね?」
これも、店員に対してきちんとした接客を求めているにすぎませんから、過度な要求には当たらず違法性はありません。
(3)
客「チーズバーガー」
私「かしこまりました」
客「おい!なんでチーズ入ってるんだよ」
私「お客様こちらチーズバーガー…」
客「だからなんでチーズバーガーにチーズ入ってんだって聞いてんだよ!抜けよ!」
チーズバーガーにチーズが入っているのは当然であり、お客さんはチーズが入っていることを認識してチーズバーガーを注文しているわけです。
そして、チーズバーガーのチーズはやや溶けてパティやバンズにくっついていることが多いので、注文したチーズバーガーからチーズを抜けと要求して、完全には取り切れないチーズを抜かせたり、作り直しを求めたりすることは業務妨害罪に当たる可能性があります。
この(3)のクレームは適法と違法の境目くらいでしょうね。
●店員がクレームをTwitterに晒すことは適法か
クレームを言ったお客さんが誰であるかがわかる形でクレームを受けたことをTwitterで晒した場合、店員の側にも名誉毀損罪(3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金)や侮辱罪(拘留または科料)が成立する可能性があることに注意が必要です。
具体的なクレーム内容やそのお客さんに対する悪口(「このキ○ガイよく来るから困る」など)をツイートした場合は、投稿者やお店が特定されて炎上したり、投稿者がコンプライアンスや就業規則に違反したとして懲戒されたりする可能性もあるので、ツイートする前によく内容を考えてから行うようにしましょう。
クレームのことを「お客様のご意見」という企業もありますが、お客さんだからといってどんな意見を言ってもいいとは限らないのは当然です。
仮に店員の対応のほうに問題があったとしても、度を過ぎてしまって違法なクレームを行うと逮捕・勾留されて20日以上警察に留置される等の不利益が待っていますので、みなさんは節度を守ったクレームに留めるようにしましょう。
*著者:弁護士 木川雅博 (星野法律事務所。通信会社法務・安全衛生部門勤務を経て、星野法律事務所に所属。破産・再生・債務整理を得意とする。趣味は料理、ランニング。)