「報ステ」に自民党が圧力? 法的問題はあるのか

報道ステーションの報道が偏向しているとして、自民党が中立な報道を求めるという文書をテレ朝に送付したと報じられています。

この文書の送付が報道機関に対する政権与党の不当な圧力ではないかということが議論になっています。それでは、今回の騒動を法的に見ると、憲法や、その他何かの法律に違反しているということはあるのでしょうか?

テレビ

●表現の自由と知る権利

憲法21条は、表現の自由を定めています。

表現の自由は、言いたいことや表現したいことを自由に出来るということを保護したものであり、この自由を国家権力が制限することを禁止していると解釈されています。特に、政治的な表現の自由は、芸術的な表現の自由よりも手厚く保護されていると解釈されています。

また、表現の自由を担保するために、国民の知る権利も憲法21条によって保護されていると解釈されています。表現活動の前提として、各種の情報を得る必要があるからです。

国民の知る権利に奉仕するのが、報道機関の報道です。従って、報道の自由も憲法21条の保護のもとにあると解釈されています。

従って、国家権力が報道機関に報道を制限することを禁止していると解釈されます。

 

●中立性を要求する文章だけでは問題とならない

ところで、自民党が出した文書は、あくまでも報道の中立性を要求する文書です。テレ朝が報ステを報道することを禁止していませんので、直接的には憲法21条の問題とはなりません。

従って、自民党の文書送付が直ちに憲法に違反することにはなりません。また、その他の法律に違反することもありません。

とはいえ、このような文書の送付は、報道機関を萎縮させる結果となりかねません。やはり、政権与党としては、控えるべきであったと「私」は思います。これは、あくまでも「私」の考えです。

最終的に不当であったか否かを決めるのは有権者です。不当であると考える有権者が多ければ、自民党は議席を減らすでしょうし、不当ではないと考える有権者多ければ、自民党は議席を伸ばすでしょう。

 

*著者:弁護士 星正秀(星法律事務所。離婚、相続などの家事事件や不動産、貸金などの一般的な民事事件を中心に、刑事事件や会社の顧問などもこなす。)

星 正秀 ほしまさひで

星法律事務所

東京都中央区銀座2−8−5石川ビル8階

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