浮気した側から離婚請求… 昭和27年の「踏んだり蹴ったり判決」ってどんな内容?

浮気をした側から「離婚したい」なんていうのはふてぶてしい話ですが、夫婦間に愛が無くなっている場合などではよくある話です。

話し合って離婚に至れば問題はないのですが、話がスムーズに行かず、揉めてしまうと裁判まで行っていまうこともあります。このような時、裁判所は離婚を認めるのでしょうか?

過去にあった同様のケースではどのような判決となったのでしょうか?実際の例を踏まえて解説していきます。

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●昭和27年の「踏んだり蹴ったり判決」の例

浮気した配偶者を「有責配偶者」と言います。

民法の規定を見ますと、浮気をされた配偶者からの離婚請求は認められますが、有責配偶者からの離婚請求は直接規定されていません。

そのため、長い間、有責配偶者からの離婚請求は認められませんでした。

有名な判例は、昭和27年の「踏んだり蹴ったり判決」です。

妻以外の女性と同棲関係にある夫からの離婚請求について、「もしかかる請求が是認されるならば、妻はまったく俗にいう踏んだり蹴ったりである。法はかくのごとき不徳義勝手気侭を許すものではない」として請求を棄却し、以来、有責配偶者からの離婚請求は許されないという判例理論が確立しました。

相手方に責任がある場合に、離婚請求が出来るという考えであり、自分に責任がある有責配偶者からの離婚請求は認められないという考えです。有責主義と言います。

この当時は、離婚の慰謝料額は少なく、また、財産分与も今ほどは認められていませんでした。離婚すると年金ももらえなくなる可能性がありました。さらに女性が働くことは今以上に困難でした。そのため、裁判所は、女性の生活を維持するために、簡単に離婚請求を認めなかったものと思われます。

しかし、時代が変わり、女性が社会にどんどん進出してくると、旧来の考えだけでは、夫婦関係を律することが困難になりました。

 

●現在では認められるケースも

愛がなくなった男女を法律が縛るのはおかしいのではないかというような考えです。つまり、婚姻関係が破綻しているのに、籍だけ残しておくのはおかしいのでないかという考えです。破綻主義と言います。

最高裁で昭和62年に下された判決では、従来の判例を変更し、一定の要件のもとで有責配偶者からの離婚請求も許される場合がある旨判示しました。

「夫婦の別居が両当事者の年齢及び同居期間との対比において相当の長期間に及び、その間に未成熟の子が存在しない場合には、相手方配偶者が離婚により精神的・社会的・経済的に極めて苛酷な状態におかれる等離婚を認容することが著しく社会正義に反すると言えるような特段の事情が認められない限り、有責配偶者からの請求であるとの一事をもって許されないとすることはできない」と大きく破綻主義に傾きました。

判例の言葉は難しいですが、分かりやすく言うと、長期間の別居、幼い子供がいないこと、離婚によって相手方が苦境に立たされないこと、などの事情があれば、有責配偶者からの離婚請求も認めるというものです。

 

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●まずはしっかり話し合う事が大切

現在は、7、8年の別居期間があれば、離婚請求が認められる事案が増えています。逆に言えば、7、8年別居しないと離婚請求が認められないということです。

しかし、注意しなければいけないことは、この判例の理論は、離婚判決を下す際の理論だということです。

協議離婚、調停離婚の場合は、双方の合意があれば離婚できます。裁判になっても、和解が成立すれば離婚できます。有責配偶者は多めの和解金を支払うことになりますが、和解であれば離婚できます。

有責配偶者であっても、離婚を諦めることなく、相手方とよく話しあって下さい。離婚後も相手方の生活が成り立つような配慮をすれば、離婚することが可能です。

 

*著者:弁護士 星正秀(星法律事務所。離婚、相続などの家事事件や不動産、貸金などの一般的な民事事件を中心に、刑事事件や会社の顧問などもこなす。)

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星 正秀 ほしまさひで

星法律事務所

東京都中央区銀座2−8−5石川ビル8階

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